[行列解析3.3.6]

3.3.6

定理 3.3.6. \( A \in M_n \) を与えられた行列とし、その異なる固有値を \( \lambda_1, \ldots, \lambda_d \) とする。

このとき、\( A \) の最小多項式は次の形で与えられる。

q_A(t) = \prod_{i=1}^d (t - \lambda_i)^{r_i} \tag{3.3.7}

ここで \( r_i \) は、固有値 \( \lambda_i \) に対応する \( A \) の最大のジョルダンブロックの大きさである。

実際的には、この結果は最小多項式を計算するうえであまり役に立たない。

なぜなら、多くの場合、最小多項式を求めるよりもジョルダン標準形を決定するほうが難しいからである。実際、行列の固有値だけが分かっている場合でも、試行錯誤によってその最小多項式を決定できる。

しかし、この結果には理論的に重要な帰結がある。すなわち、行列が対角化可能であるのはすべてのジョルダンブロックの大きさが 1 の場合に限られるので、対角化可能であるための必要十分条件は (3.3.7) においてすべての \( r_i = 1 \) であることである。

( A \) のすべての異なる固有値を根に持つことができないからである。もし消去しなければ、\( A \) は対角化可能ではない。この結果をいくつかの同値な形で表現しておくことも有用である。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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