[行列解析3.1.P8]零二乗行列のジョルダン標準形

3.標準形と三角因子分解

3.1.P8

3.1問題8

\(A \in M_n\) とし、\(\operatorname{rank} A = r \ge 1\) かつ \(A^2=0\) と仮定する。前問または(3.1.18)を用いて、\(A\) のジョルダン標準形が \(J_2(0)\oplus\cdots\oplus J_2(0)\oplus 0_{\,n-2r}\)(\(2\times 2\) ブロックが \(r\) 個)であることを示せ。(2.6.P23)と比較せよ。

ヒント

\(A^2=0\) ならば最小多項式は \(x^2\) を割り、固有値は \(0\) のみである。したがってジョルダンブロックの大きさは高々 2 である。また \(\operatorname{rank}A=r\) から \(\dim \ker A=n-r\) がわかる。ジョルダンブロックの個数と核の次元との関係を用いると、2次ブロックの個数が決定できる。

解答例

\(A^2=0\) とする。このとき最小多項式は \(x^2\) を割るので、固有値は \(0\) のみであり、ジョルダンブロックの大きさは高々 2 である。したがって \(A\) のジョルダン標準形は

J_2(0)\ \text{と}\ J_1(0)

のみから構成される。

ここで \(J_2(0)\) の個数を \(s\)、\(J_1(0)\) の個数を \(t\) とすると、行列のサイズより

2s+t=n

である。

また \(\operatorname{rank}A=r\) であるから、階数・次元定理より

\dim \ker A
= n-r

である。

一方、ジョルダン標準形で考えると、\(\ker A\) の次元は各ジョルダンブロックごとに1ずつ寄与する。したがって

s+t = n-r

が成り立つ。

2つの式

2s+t=n,
\qquad
s+t=n-r

を引き算すると

s=r

を得る。

したがって \(t=n-2r\) である。

以上より、\(A\) のジョルダン標準形は

J_2(0)\oplus\cdots\oplus J_2(0)\oplus 0_{\,n-2r}

(\(2\times2\) ブロックが \(r\) 個) である。

これは(2.6.P23)で得られる標準形とも一致する。


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