0.6.4 グラム–シュミット直交化法
内積空間における有限個の線形独立なベクトル列は、同じ線形包を持つ直交正規列に置き換えることが可能です。その代表的な方法がグラム–シュミット直交化法です。
初めにベクトル列 \( x_1, \ldots, x_n \) を与え、以下の手順で直交正規列 \( z_1, \ldots, z_n \) を構成します:
- \( y_1 = x_1 \), 正規化して \( z_1 = y_1 / \|y_1\|_2 \)
- \( y_2 = x_2 - \langle x_2, z_1 \rangle z_1 \), 正規化して \( z_2 = y_2 / \|y_2\|_2 \)
- 一般に、
y_k = x_k - \sum_{j=1}^{k-1} \langle x_k, z_j \rangle z_j, \quad z_k = y_k / \|y_k\|_2
この方法により、任意の \( k \) に対して
\mathrm{span}\{z_1, \ldots, z_k\} = \mathrm{span}\{x_1, \ldots, x_k\}
が成り立ちます。
また、行列 \( X = [x_1 \ldots x_n] \), \( Z = [z_1 \ldots z_n] \) としたとき、直交化により \( X = ZR \) の分解が得られ、\( R \) は正則な上三角行列になります。
コメント