[行列解析0.1.4]線形従属と線形独立

行列

0.1.4 線形従属と線形独立

ベクトル空間 \( V \) 上の有限個のベクトル \( v_1, \ldots, v_k \) の列が 線形従属であるとは、すべてが 0 ではないスカラー \( a_1, \ldots, a_k \in \mathbb{F} \) が存在して、次の関係を満たすときに言います:

a_1 v_1 + \cdots + a_k v_k = 0

すなわち、非自明な線形結合がゼロベクトルになるとき、列 \( v_1, \ldots, v_k \) は線形従属です。「ベクトル \( v_1, \ldots, v_k \) は線形従属である」と簡潔に言うことがよくあります。

2個以上のベクトルの列が線形従属であるのは、あるベクトルが他のベクトルの線形結合で表されるときです。特に、同じベクトルが2回以上現れると、それだけで線形従属です。2つのベクトルは、一方が他方のスカラー倍であれば線形従属です。

ゼロベクトルのみからなる列も、例えば \( a_1 = 1 \) のとき \( a_1 \cdot 0 = 0 \) なので線形従属です。

逆に、有限個のベクトル列 \( v_1, \ldots, v_k \) が線形従属でないとき、それは 線形独立です。このときも、「ベクトル \( v_1, \ldots, v_k \) は線形独立である」と言う方が一般的です。

自然に現れる無限個のベクトル列として、実係数多項式空間における 1, \( t, t^2, t^3, \ldots \)、あるいは区間 \([0, 2\pi]\) 上の周期的な連続複素関数空間における \( 1, e^{it}, e^{2it}, e^{3it}, \ldots \) などがあります。

ある列から一部のベクトルを削除した列は、その部分列です。無限列が線形従属であるとは、ある有限部分列が線形従属であることを意味します。すべての有限部分列が線形独立なら、無限列は線形独立です。

線形独立なベクトル列の任意の部分列もまた線形独立です。一方で、線形従属なベクトル列は、線形従属な部分列を含みます。ゼロベクトルを含むベクトル列は常に線形従属です。

一方、すべての適切な部分列が線形独立でも、全体としては線形従属である場合もあります(例:1.4.P12 を参照)。空のベクトル列は線形従属ではないため、線形独立とされます。

有限集合の濃度(cardinality)とは、その異なる要素の個数です。ベクトル列 \( v_1, \ldots, v_k \) に対して、集合 \( \{v_1, \ldots, v_k\} \) の濃度が \( k \) 未満であるのは、同一ベクトルが含まれている場合に限られます。もし \( v_1, \ldots, v_k \) が線形独立であるならば、その集合の濃度はちょうど \( k \) です。

ベクトル列(有限でも無限でも)のスパンとは、その列の要素集合のスパンのことです。列が \( V \) を張る(spanする)とは、\( V \) がその列のスパンであることを意味します。

集合 \( S \) が線形独立であるとは、その中の任意の有限個の異なるベクトルからなる列がすべて線形独立であることです。逆に、ある有限列が線形従属なら \( S \) は線形従属です。


注:当サイトはCAMBBRIDGE公式サイトとは無関係です「Matrix Analysis:Second Edition Roger A. Horn University of Utah Charles R. Johnson」

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