0.1.1 スカラー体
ベクトル空間の背後には、その体(スカラーの集合)があります。ここで扱う体は、通常は実数体 \( \mathbb{R} \) または複素数体 \( \mathbb{C} \)(付録Aを参照)ですが、有理数体、素数を法とする整数体、その他の体であることもあります。体が特定されていないときには、記号 \( \mathbb{F} \) を用います。
体と呼ばれるためには、集合が2つの二項演算「加法」と「乗法」の下で閉じていなければなりません。これらの演算は、結合律および可換律を満たし、それぞれ単位元を持ちます。加法においてはすべての元に逆元が存在し、乗法においては加法単位元(ゼロ)以外のすべての元に逆元が存在します。さらに、乗法は加法に対して分配的でなければなりません。
コメント