7.3.問題16
7.3.P16
\( A, B \in M_{m,n} \) とする。特異値に関する基本的不等式として次が成り立つ:
\sigma_{i+j-1}(A + B) \le \sigma_{i}(A) + \sigma_{j}(B) \quad \text{if } 1 \le i, j \le q \text{ and } i + j \le q + 1,
\sigma_{i+j-1}(A B^{*}) \le \sigma_{i}(A)\sigma_{j}(B) \quad \text{if } 1 \le i, j \le q \text{ and } i + j \le q + 1.
(a) (7.3.13) を証明するために、(7.3.4) で定義されるようなエルミートブロック行列 \( A, B \in M_{m+n} \) を考える。このとき、特異値と固有値の関係
\sigma_{k}(A) = \lambda_{m+n-k+1}(A)
が任意の \( k \in \{1, \dots, q\} \) について成立することを説明せよ。この恒等式およびWeylの不等式 (4.3.1) から (7.3.13) を導け。
(b) (7.3.13) から \( \sigma_{1}(A + B) \le \sigma_{1}(A) + \sigma_{1}(B) \) が従うことを示せ。なぜこれは当然の結果といえるか。
(c) \( i > 1 \) のとき、不等式 \( \sigma_{i}(A + B) \le \sigma_{i}(A) + \sigma_{i}(B) \) が必ずしも成立しないことを例を挙げて示せ。
(d) 摂動評価式を証明せよ:
|\sigma_{i}(A + B) - \sigma_{i}(A)| \le \sigma_{1}(B) \quad \text{for any } i \in \{1, \dots, q\}.
(f) (7.3.14) から \( \sigma_{1}(A B^{*}) \le \sigma_{1}(A)\sigma_{1}(B) \) が従うことを示せ。なぜこれも当然の結果といえるか。また、極分解、部分空間の交わり、(7.3.P4(b))、および (7.3.8) のみを用いた (7.3.14) の証明については Horn and Johnson (1991) の定理 3.3.16 を参照せよ。
行列解析の総本山

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