[行列解析2.5.P19]正規行列とスカラー倍単位行列の加法不変性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P19

2.5.問題19

\(A \in M_{n}\) と \(a \in \mathbb{C}\) が与えられたとする。

正規行列の定義(2.5.1)を用いて、\(A\) が正規であることと \(A + aI\) が正規であることは同値であることを示せ。

ただしスペクトル定理 (2.5.3) を用いてはならない。

ヒント

正規行列の定義は \( A^{*}A = AA^{*} \) である。随伴の基本的性質 \( (A+aI)^{*}=A^{*}+\overline{a}I \) を用いて、積を直接計算し、両者の差がどのように簡単化されるかを確認するとよい。

解答例

定義 (2.5.1) により、行列 \( A \) が正規であるとは \( A^{*}A = AA^{*} \) が成り立つことをいう。

まず、\( A \) が正規であると仮定する。すると \( (A+aI)^{*}=A^{*}+\overline{a}I \) であるから、次を計算する。

(A+aI)^{*}(A+aI)
= A^{*}A + aA^{*} + \overline{a}A + |a|^{2}I

同様に

(A+aI)(A+aI)^{*}
= AA^{*} + aA^{*} + \overline{a}A + |a|^{2}I

ここで仮定より \( A^{*}A = AA^{*} \) であるから、両式は等しい。したがって \( (A+aI)^{*}(A+aI) = (A+aI)(A+aI)^{*} \) が成り立ち、\( A+aI \) は正規行列である。

逆に、\( A+aI \) が正規であると仮定する。同様の計算により

(A+aI)^{*}(A+aI) - (A+aI)(A+aI)^{*}
= A^{*}A - AA^{*}

を得る。左辺は \( A+aI \) が正規であるという仮定から零行列である。したがって \( A^{*}A = AA^{*} \) が成り立ち、\( A \) は正規行列である。

以上より、\( A \) が正規であることと \( A+aI \) が正規であることは同値である。


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