2.3.7
系 2.3.7.
行列 \( A \in M_n \) が \( A \overline{A} = \overline{A} A \) を満たすとする。
このとき、実直交行列 \( Q \in M_n(\mathbb{R}) \) と、準対角行列 \( D = J_{n_1} \oplus \cdots \oplus J_{n_m} \in M_n \) が存在して、\( Q^T A Q \in M_n \) は \( D \) に適合した分割をもつ複素上準三角行列(式 (2.3.6.1) の形)となり、次の性質を満たす。
各 \( j \in \{1, \ldots, m\} \) について、もし \( n_j = 2 \) ならば、少なくとも \( \mathrm{Re}\, A_j \) または \( \mathrm{Im}\, A_j \) のどちらかが非実固有値の共役ペアをもつ。
さらに、もし \( \mathrm{Re}\, A \) と \( \mathrm{Im}\, A \) がともに実固有値しか持たないならば、\( Q^T A Q \in M_n \) は上三角行列となる。
証明.
\( A = B + iC \) と書ける。ただし \( B, C \) は実行列である。仮定と前の練習問題から、\( B \) と \( C \) は可換であることがわかる。(2.3.6b) より、実直交行列 \( Q \in M_n(\mathbb{R}) \) と、準対角行列
D = J_{n_1} \oplus \cdots \oplus J_{n_m} \in M_n
が存在して、\( Q^T B Q \) および \( Q^T C Q \) がともに \( D \) に適合した分割をもつ実の上準三角行列(式 (2.3.6.1) の形)となる。
さらに、各 \( j \in \{1, \ldots, m\} \) について、もし \( n_j = 2 \) ならば、\( A_j(B) \) または \( A_j(C) \) のいずれかが非実固有値の共役ペアをもつ。したがって
Q^T A Q = Q^T (B + iC) Q = Q^T B Q + i Q^T C Q
は、\( D \) に適合した分割をもつ複素上準三角行列となる。さらに、もし \( B \) と \( C \) がともに実固有値しか持たないならば、すべての \( n_j = 1 \) となり、\( Q^T B Q \) および \( Q^T C Q \) は上三角行列である。 ■
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