[行列解析2.5.P13]正規行列と随伴行列のユニタリ関係

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P13

2.5.問題13

(2.5.P12) を用いて、\(A \in M_{n}\) が正規であることと、あるユニタリ行列 \(V \in M_{n}\) が存在して \(A^{\ast} = AV\) となることは同値であることを示せ。

この事実から、\(A\) が正規なら \(\mathrm{range}(A) = \mathrm{range}(A^{\ast})\) であることを導け。

ヒント

正規性 \( AA^{\ast} = A^{\ast}A \) を仮定すると、極分解を用いて \( A^{\ast} \) を \( A \) とユニタリ行列の積として表すことができる。逆に \( A^{\ast} = AV \) から積の順序を比較すればよい。

解答例

まず \( A \) が正規であると仮定する。このとき極分解により、あるユニタリ行列 \( U \) と正半定値エルミート行列 \( |A| = (A^{\ast}A)^{1/2} \) が存在して \( A = U|A| \) と書ける。

正規性より \( A^{\ast}A = AA^{\ast} \) が成り立つので、 \( |A| = (AA^{\ast})^{1/2} \) であり、

A^{\ast} = |A|U^{\ast}

となる。ここで \( V = U^{\ast}U^{\ast} \) とおけば \( V \) はユニタリであり、

A^{\ast} = AV

が成り立つ。

逆に、あるユニタリ行列 \( V \) が存在して \( A^{\ast} = AV \) と仮定する。このとき \( A^{\ast}A = AVA \) および \( AA^{\ast} = AAV \) であるが、\( V \) がユニタリであることから両者は等しくなり、 \( A^{\ast}A = AA^{\ast} \) が従う。よって \( A \) は正規である。

以上より、\( A \) が正規であることと、あるユニタリ行列 \( V \) が存在して \( A^{\ast} = AV \) となることは同値である。

次に \( A \) が正規であるとする。このとき \( A^{\ast} = AV \) が成り立つので、 \( \mathrm{range}(A^{\ast}) = \mathrm{range}(AV) \) である。ユニタリ行列 \( V \) は全単射であるから \( \mathrm{range}(AV) = \mathrm{range}(A) \) が成り立つ。したがって \( \mathrm{range}(A) = \mathrm{range}(A^{\ast}) \) である。


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