[行列解析2.6.p28]EP行列の構造とランク主導性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P28

2.6.問題28

\(A \in M_n\) が EP 行列であるとは、\(\mathrm{range}(A)\) と \(\mathrm{range}(A^*)\) が同じであることを意味する。

すべての正規行列は EP 行列であり、正則行列(正規であるかどうかにかかわらず)も EP 行列である。

(a) \(A\) が EP 行列であり \(\mathrm{rank}(A) = r\) であることと、非特異行列 \(B \in M_r\) とユニタリ行列 \(V \in M_n\) が存在して \(A = V \begin{pmatrix} B & 0 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} V^*\) となることは同値である。

(b) なぜ EP 行列がランク主導 (rank principal) であるか説明せよ。

ヒント

EP 行列とは \( \mathrm{range}(A)=\mathrm{range}(A^*) \) を満たす行列である。

像と随伴の像が一致することから、空間を像とその直交補に分解できる。

(a) ではこの直交分解に基づいてブロック対角化を行う。

(b) ではその分解から主小行列の階数が保存されることを見る。

解答例

(a) まず \(A\) が EP 行列で \(\mathrm{rank}(A)=r\) とする。仮定より \( \mathrm{range}(A)=\mathrm{range}(A^*) \) である。よって

\mathbb{C}^n
= \mathrm{range}(A) \oplus \mathrm{null}(A)

が直交分解となる。ここで \(\mathrm{range}(A)\) の正規直交基底を並べた行列を \(V_1 \in M_{n,r}\)、 \(\mathrm{null}(A)\) の正規直交基底を並べた行列を \(V_2 \in M_{n,n-r}\) とする。すると \(V=[V_1\;V_2]\) はユニタリ行列である。

この基底に関して \(A\) を表すと、\(\mathrm{null}(A)\) 上では作用が 0 であり、 \(\mathrm{range}(A)\) 上では自己写像となる。したがって

V^* A V
=
\begin{pmatrix}
B & 0 \\
0 & 0
\end{pmatrix}

と書ける。ここで \(B\in M_r\) は \(\mathrm{range}(A)\) 上の表現行列である。 \(\mathrm{rank}(A)=r\) であるから、この制限写像は全単射であり、したがって \(B\) は非特異である。よって

A = V
\begin{pmatrix}
B & 0 \\
0 & 0
\end{pmatrix}
V^*

となる。

逆にこの形に表せるならば、像は明らかに最初の \(r\) 成分に対応する部分空間であり、 随伴についても同じ部分空間が像となる。したがって \( \mathrm{range}(A)=\mathrm{range}(A^*) \) であり、\(A\) は EP 行列である。

(b) (a) の表示より、EP 行列はユニタリ合同で

\begin{pmatrix}
B & 0 \\
0 & 0
\end{pmatrix}

というブロック対角形になる。ここで \(\mathrm{rank}(A)=\mathrm{rank}(B)=r\) である。 したがって階数は左上の \(r\times r\) 主小行列によってすべて決まり、 零ブロックは階数に影響しない。

ゆえに EP 行列では、階数はある主小行列の階数によって与えられる。すなわち EP 行列はランク主導 (rank principal) である。


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