[行列解析2.6.p9]特異値からの特異値分解の構成

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P9

2.6.問題9

\(A \in M_n\) とし、その階数を \(r = \mathrm{rank}(A)\) とする。

降順の正の特異値 \(\sigma_1, \ldots, \sigma_r\) から \(\Sigma_1 = \mathrm{diag}(\sigma_1, \ldots, \sigma_r)\) を作り、\(\Sigma = \Sigma_1 \oplus 0_{n-r}\) とする。

ユニタリ行列 \(W \in M_n\) が存在して \(A^* A = W \Sigma^2 W^*\) となるとき、ユニタリ \(V \in M_n\) が存在して \(A = V \Sigma W^*\) となることを示せ。

ヒント

\( A^*A = W \Sigma^2 W^* \) であるとき、\( W \) の列ベクトルは \( A^*A \) の固有ベクトルである。

まず \( A W \) を考え、\( \Sigma \) の正則部分に注目して \( V \) を定義する。

特に \( \sigma_i > 0 \) の部分では \( v_i = \frac{1}{\sigma_i} A w_i \) とおくことで直交系が得られる。

解答例

仮定より

A^* A = W \Sigma^2 W^*

ここで \( \Sigma = \Sigma_1 \oplus 0_{n-r} \)、 \( \Sigma_1 = \mathrm{diag}(\sigma_1, \ldots, \sigma_r) \) であり、 \( \sigma_1 \ge \cdots \ge \sigma_r > 0 \) である。

\( W = (w_1, \ldots, w_n) \) と列ベクトル表示すると、

A^* A w_i = \sigma_i^2 w_i \quad (1 \le i \le r)

が成り立つ。

そこで \( 1 \le i \le r \) に対して

v_i = \frac{1}{\sigma_i} A w_i

と定める。

このとき

\langle v_i, v_j \rangle
= \frac{1}{\sigma_i \sigma_j}
\langle A w_i, A w_j \rangle
= \frac{1}{\sigma_i \sigma_j}
\langle w_i, A^* A w_j \rangle
= \frac{\sigma_j^2}{\sigma_i \sigma_j}
\langle w_i, w_j \rangle

\( W \) はユニタリであるから \( \langle w_i, w_j \rangle = \delta_{ij} \) である。したがって

\langle v_i, v_j \rangle = \delta_{ij}

よって \( v_1, \ldots, v_r \) は正規直交系である。

これを正規直交基底に拡張し、ユニタリ行列

V = (v_1, \ldots, v_n)

を得る。

すると \( 1 \le i \le r \) について

A w_i = \sigma_i v_i

また \( i > r \) では \( \sigma_i = 0 \) であり、 \( A^* A w_i = 0 \) より \( A w_i = 0 \) である。

以上より

A W = V \Sigma

が成り立つ。両辺に右から \( W^* \) を掛けると

A = V \Sigma W^*

となる。

よって、所望のユニタリ行列 \( V \) が存在することが示された。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました