2.5.P53
2.5.問題53
\( U, V \in M_n \) をユニタリ行列とし、さらに \( V \) の全ての固有値が長さ \( \pi \) の開弧上(半円)にあると仮定する。
このような行列を cramped unitary (詰め込まれたユニタリ行列)という。\( C = UVU^*V^* \) を \( U, V \) の乗法的交換子とする。
前問を用いて Frobenius の定理を証明せよ:
\( U \) が \( C= UVU^*V^* \) と可換であることと \( U \) が \( V \) と可換であることは同値である。
ヒント
乗法的交換子 \( C = UVU^*V^* \) が単位行列であることと \( U \) と \( V \) が可換であることは同値である。
前問の Marcus–Thompson 定理を用いるために、\( C \) が正規であることと、0 が \( V \) の固有値の凸包に含まれないことに注目する。
解答例
\( U, V \) はユニタリ行列であるから、\( C = UVU^*V^* \) もユニタリであり、特に正規行列である。またユニタリ行列は逆行列が随伴行列に一致するため、 \( C^{-1} = VU V^* U^* = C^* \) が成り立つ。
仮定より \( V \) の全ての固有値は長さ \( \pi \) の開弧上にあり、従ってそれらの凸包は原点 0 を含まない。よって前問(Marcus–Thompson 定理)を \( A = U \)、\( B = V \) に適用することができる。
まず \( U \) と \( V \) が可換であると仮定すると、 \( C = UVU^*V^* = I \) となるので、明らかに \( U \) は \( C \) と可換である。
逆に \( U \) が \( C \) と可換であると仮定する。このとき \( U \) と \( C \) はともに正規行列であり、さらに 0 は \( V \) の固有値の凸包に含まれない。したがって前問の結果より、 \( C = I \) が従う。
\( C = I \) は定義から \( UVU^*V^* = I \) すなわち \( UV = VU \) と同値である。
以上より、\( U \) が \( C \) と可換であることと、\( U \) が \( V \) と可換であることは同値である。これが Frobenius の定理である。
行列解析の総本山
総本山の目次📚

記号の意味🔎




コメント