[行列解析2.5.P31]異なる固有値をもつ実正規行列の対称性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P31

2.5.問題31

実正規行列 \(A \in M_{n}(\mathbb{R})\)、すなわち \(AA^{\top} = A^{\top}A\) とする。

もし \(AA^{\top}\) が \(n\) 個の異なる固有値をもつなら、\(A\) は対称行列であることを示せ。

ヒント

実正規行列 \(A\) は \(AA^{\top} = A^{\top}A\) を満たす。仮定より \(AA^{\top}\) は \(n\) 個の相異なる固有値をもつため,その固有ベクトルは直交基底をなす。\(AA^{\top}\) と \(A^{\top}A\) が一致することから,それらの固有空間と \(A\) の作用の関係を調べることが重要である。

\( A = A^\top \) であることと、実直交行列 \( Q \in M_n(\mathbb{R}) \) が存在して、

Q^\top A Q = \mathrm{diag}(\lambda_1, \dots, \lambda_n) \in M_n(\mathbb{R})

となることは同値である。
ここで、\( \lambda_1, \dots, \lambda_n \) は \( A \) の固有値である。
2つの実対称行列が実直交相似であるのは、それらが同じ固有値を持つ場合に限る。

解答例

\(AA^{\top}\) は実対称行列であるから,直交行列 \(Q\) が存在して

Q^{\top}AA^{\top}Q = \operatorname{diag}(\lambda_{1},\ldots,\lambda_{n})

と対角化できる。ここで \(\lambda_{1},\ldots,\lambda_{n}\) はすべて相異なると仮定する。すると,各固有値に対応する固有空間は一次元である。

一方,\(AA^{\top} = A^{\top}A\) であるから,\(AA^{\top}\) と \(A^{\top}A\) は同一の行列であり,同じ固有値と固有ベクトルをもつ。したがって,任意の固有ベクトル \(v\) に対して

AA^{\top}v = \lambda v

が成り立つとき,\(A^{\top}A v = \lambda v\) も成り立つ。固有空間が一次元であることから,\(Av\) と \(A^{\top}v\) はともに同じ固有空間に属し,比例関係にある。

しかし実正規行列に対しては \(\lVert Av\rVert = \lVert A^{\top}v\rVert\) が成り立つため,比例係数は \(1\) でなければならない。よって

Av = A^{\top}v

がすべての固有ベクトル \(v\) に対して成り立つ。これらの固有ベクトルは \(\mathbb{R}^{n}\) の基底をなすから,線形性より

A = A^{\top}

が従う。したがって,\(A\) は対称行列である。


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