[行列解析2.4.p14]ランクrの行列の上三角形式への相似変換

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.4.P14

2.4.問題14

行列 \( A \in \mathbb{M}_n \) がランク \( r \) であるとする。

\( A \) はユニタリ相似変換により、最初の \( r \) 行が線形独立で残りの \( n-r \) 行が零行の上三角行列に変換できることを示せ。

ヒント

行列 \( A \) のランクが \( r \) であることは、その像空間(列空間) \( \mathrm{im}(A) \) の次元が \( r \) であることを意味する。ユニタリ相似変換 \( U^* A U \) を用いて、この \( r \) 次元の不変部分空間あるいは像空間の基底を標準基底の最初の \( r \) 個に対応させるようにユニタリ行列 \( U \) を構成する。Schur分解の証明と同様の手順で、像空間の基底を拡張して正規直交基底を構成し、行列のブロック構造を調整することで目的の形式を導く。

解答例

行列 \( A \) のランクが \( r \) であるため、\( A \) の列空間の次元は \( r \) である。この列空間の正規直交基底を \( \{u_1, u_2, \ldots, u_r\} \) とし、これを \( \mathbb{C}^n \) 全体の正規直交基底 \( \{u_1, \ldots, u_r, u_{r+1}, \ldots, u_n\} \) に拡張する。これらを列ベクトルとするユニタリ行列を \( U = [u_1 \cdots u_n] \) と定義する。

このとき、\( A \) による各基底ベクトルの像 \( A u_j \) について考える。任意の \( j \in \{1, \ldots, n\} \) に対して \( A u_j \) は \( A \) の列空間に属するため、基底 \( \{u_1, \ldots, u_r\} \) の線形結合で書ける。

A u_j = \sum_{i=1}^r t_{ij} u_i

これは、\( i > r \) に対しては係数が \( 0 \) であることを意味する。ユニタリ相似変換後の行列 \( T = U^* A U \) の各成分 \( T_{ij} \) は \( T_{ij} = u_i^* A u_j \) で与えられるため、

T_{ij} = u_i^* \left( \sum_{k=1}^r t_{kj} u_k \right) = \sum_{k=1}^r t_{kj} (u_i^* u_k)

正規直交性 \( u_i^* u_k = \delta_{ik} \) により、\( i > r \) のとき \( T_{ij} = 0 \) となる。したがって、行列 \( T \) は次のようなブロック構造を持つ。

T = \begin{pmatrix} T_{r \times r} & T_{r \times (n-r)} \\ O_{(n-r) \times r} & O_{(n-r) \times (n-r)} \end{pmatrix}

ここで \( T_{r \times r} \) はランク \( r \) の行列の像を反映した部分であり、必要に応じてSchur分解をさらに適用することで上三角化が可能である。この操作により、最初の \( r \) 行に非零成分が集まり、残りの \( n-r \) 行がすべて零行である形式が得られる。


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