2.4.問題13
2.4.P13
線形行列方程式 \( A X - X B = C \) に関する (2.4.4.1) の別証明の詳細を示せ。
行列 \( A \in \mathbb{M}_n \), \( B \in \mathbb{M}_m \) は共通の固有値を持たないとする。
線形変換 \( T_1, T_2 : \mathbb{M}_{n,m} \to \mathbb{M}_{n,m} \) をそれぞれ
T_1(X) = A X, \quad T_2(X) = X B
で定義する。
\( T_1, T_2 \) は可換であり、(2.4.8.1) から \( T = T_1 - T_2 \) の固有値は \( T_1 \) と \( T_2 \) の固有値の差であることを導け。
\( \lambda \) が \( T_1 \) の固有値であることは、\( AX - \lambda X = 0 \) となる非零行列 \( X \) が存在することと同値であり、それは \( \lambda \) が \( A \) の固有値であることと同値である(\( X \) の各非零列は対応する固有ベクトル)。
したがって \( T_1 \) と \( A \) は同じスペクトルを持ち、同様に \( T_2 \) と \( B \) も同じスペクトルを持つ。
ゆえに、\( A \) と \( B \) が共通の固有値を持たなければ \( T \) は正則である。
さらに、\( \lambda \) に対応する \( A \) の固有ベクトル \( x \) と、\( B \) の固有値 \( \mu \) に対応する左固有ベクトル \( y \) に対し、\( X = x y^* \) とすると
T(X) = ( \lambda - \mu ) X
が成り立ち、\( T \) のスペクトルは \( A \) と \( B \) の固有値の差の全体集合であることがわかる。
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