2.1.p29
2.1.問題29
任意の実直交行列 \( Q \in M_n(\mathbb{R}) \) は次のように分解できる理由を説明せよ:
Q = U_1 \cdots U_N D \quad (N = n(n-1)/2)
ここで、各 \( U_i \) は平面回転行列、\( D = \mathrm{diag}(1, \ldots, 1, \det Q) = \mathrm{diag}(1, \ldots, 1, \pm 1) \in M_n(\mathbb{R}) \) とする。
ヒント
平面回転行列(Givens回転)を積み重ねると、任意の実行列を上三角化できることを利用する。
前問と同様に、\( N=n(n-1)/2 \) 個の平面回転により上三角行列を得る。
その上で、もとの行列が直交行列であることを使うと、得られた上三角行列が直交行列でもあるため、結果として対角行列であり、対角成分はすべて \( \pm 1 \) になることがわかる。
最後に行列式の符号を分離することで、指定された形の対角行列を取り出す。
解答例
まず任意の実直交行列 \( Q \in M_n(\mathbb{R}) \) を考える。
前問と同様の議論より、有限個の平面回転行列 \( U_1,\ldots,U_N \) を用いて、
U_N \cdots U_1 Q = R
となる上三角行列 \( R \) を構成できる。
ここで \( N = n(n-1)/2 \) である。また各 \( U_i \) は直交行列である。
よって左辺は直交行列の積であり直交行列であるから、右辺の \( R \) も直交行列である。
次に、上三角行列 \( R \) が直交行列であることの意味を調べる。
直交性より
R^{\mathsf{T}} R = I
が成り立つ。
ここで \( R \) は上三角であり、\( R^{\mathsf{T}} \) は下三角である。
積 \( R^{\mathsf{T}}R \) が単位行列になるためには、非対角成分がすべて0でなければならない。
この条件から、上三角行列の非対角成分はすべて0になることがわかり、したがって \( R \) は実際には対角行列である。
さらに対角成分 \( r_{ii} \) については、直交性より各列のノルムが1であることから
r_{ii}^2 = 1
が成り立つ。したがって
r_{ii} = \pm 1 \quad (i=1,\ldots,n)
である。よって \( R \) は \( \pm 1 \) を対角成分にもつ対角行列である。
上式を変形すると
Q = U_1 \cdots U_N R
を得る。ここで
\det Q = \pm 1
であることから、対角行列 \( R \) の対角成分の符号の積も \( \pm 1 \) となる。そこで最後の1つの対角成分にこの符号を集める形に整理し、
D = \mathrm{diag}(1,\ldots,1,\det Q)
と書くと、残りの符号は平面回転行列の組み替えに吸収できる。したがって最終的に
Q = U_1 \cdots U_N D
\qquad
(N = \frac{n(n-1)}{2})
と表せる。
このとき各 \( U_i \) は平面回転行列であり、\( D \) は指定された形の対角行列である。これで主張は示された。
行列解析の総本山
総本山の目次📚

記号の意味🔎




コメント