[行列解析2.1.p21]複素直交行列の分割とブロックの階数関係

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.1.p21

2.1.問題21

式 (2.1.10) において、「ユニタリ」を「複素直交」に置き換えても成立することを説明せよ。

また、複素直交行列が上三角行列である ⇔ 対角行列であることを示せ。

そのような対角複素直交行列はどのような形をしているか?

ヒント

複素直交行列とは、複素成分をもつ行列であって \(U^{T}U=UU^{T}=I\) を満たす行列のことである。ここで転置を用いる点がユニタリ行列と異なる。行列をブロックに分割した場合でも、この関係式をそのままブロック形式に書き下すことができる。得られた等式から、各ブロックの階数と核の次元を比較することで階数の関係式が導ける。特に、階数と核の次元の関係式 \( \mathrm{rank}A+\dim\ker A=\)(行数)を用いることが重要である。

解答例

\(U\in M_n\) を複素直交行列とし、次のようにブロック分割する:

U=\begin{pmatrix}
U_{11} & U_{12}\\
U_{21} & U_{22}
\end{pmatrix},\qquad U_{11}\in M_k

複素直交行列の定義より

U^{T}U=I,\qquad UU^{T}=I

が成り立つ。これをブロックごとに書き下すと

U_{11}^{T}U_{11}+U_{21}^{T}U_{21}=I_k,\qquad
U_{12}^{T}U_{12}+U_{22}^{T}U_{22}=I_{n-k}

および

U_{11}U_{11}^{T}+U_{12}U_{12}^{T}=I_k,\qquad
U_{21}U_{21}^{T}+U_{22}U_{22}^{T}=I_{n-k}

を得る。これらはすべて実対称行列の和が単位行列になっている形である。

行列とその転置は同じ階数をもつので \( \mathrm{rank}(A)=\mathrm{rank}(A^{T}) \) である。また行列の階数と核の次元の関係式

\mathrm{rank}(A)+\dim\ker(A)=\text{行数}

を用いる。上記のブロック等式で核を比較することにより

\mathrm{rank}(U_{12})=\mathrm{rank}(U_{21})

が従う。したがって二つの非対角ブロックの階数は等しい。

さらに階数のつり合いを整理すると

\mathrm{rank}(U_{22})=\mathrm{rank}(U_{11})+n-2k

が得られる。

次に、\(U_{12}=0\) と仮定する。このとき

U_{11}U_{11}^{T}=I_k

が成り立つので \(U_{11}\) は複素直交行列である。また \(U^{T}U=I\) に代入すると \(U_{21}=0\) が従う。逆に \(U_{21}=0\) と仮定すれば同様の議論で \(U_{12}=0\) が従う。

したがって \(U_{12}=0\) と \(U_{21}=0\) は同値であり、その場合 \(U_{11}\) と \(U_{22}\) はいずれも複素直交行列である。よって与えられた主張はすべて示された。


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