2.1.8
補題 2.1.8.
\( U_1, U_2, \ldots \in M_n \) をユニタリ行列の無限列とする。
このとき、無限部分列 \( U_{k_1}, U_{k_2}, \ldots \) (ただし \( 1 \leq k_1 \lt k_2 \lt \cdots \))が存在し、各 \( U_{k_i} \) の成分が \( i \to \infty \) のときにユニタリ行列の成分に収束する。
証明.
必要なのは、コンパクト集合内の任意の無限列からは、常に収束する部分列を選び出すことができるという事実である。我々はすでに、ユニタリ行列の列がある極限に収束すれば、その極限行列もユニタリ行列であることを観察している。∎
この補題で保証されるユニタリ極限は一意とは限らない。選ばれる部分列によって異なる場合がある。
練習問題.
ユニタリ行列の列
U_k = \begin{bmatrix} 0 & 1 \\ 1 & 0 \end{bmatrix}^k, \quad k = 1, 2, \ldots
を考えよ。このとき、部分列の極限として2通りの可能性があることを示せ。
練習問題. 選択原理
(2.1.8) が(実)直交群にも適用できる理由を説明せよ。すなわち、実直交行列の無限列には、実直交行列に収束する無限部分列が存在することを示せ。
ユニタリ行列 \( U \) は、\( U^{-1} = U^{*} \) という性質を持つ。ユニタリ行列の概念を一般化する一つの方法は、\( U^{-1} \) が \( U^{*} \) に相似であることを要求することである。このような行列の集合は、非特異な \( A \in M_n \) に対して写像
A \;\mapsto\; A^{-1} A^{*}
の像として簡単に特徴づけられる。
コメント