補題 1.3.28.
\( S \in M_n \) を正則行列とし、\( S = C + iD \) と表す。ただし \( C, D \in M_n(\mathbb{R}) \) とする。
このとき、ある実数 \(\tau\) が存在して、\( T = C + \tau D \) が正則となる。
証明.
\( C \) が正則ならば、\(\alpha = 0\) を取ればよい。
もし \( C \) が特異である場合、次の多項式を考える:
p(t) = det(C + t D)
これは定数多項式(次数 0)ではない。なぜなら \( p(0) = \det C = 0 \neq \det S = p(i) \) だからである。
複素平面上で多項式 \( p(t) \) の根は有限個しかないため、ある実数 \(\tau\) が存在して \( p(\tau) \neq 0 \) となり、したがって \( C + \tau D \) は正則である。
行列解析の総本山

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