[行列解析2.5.P21]正規行列と随伴行列の零空間の一致

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P21

2.5.問題21

\(A \in M_{n}\) が正規であるとする。

このとき、\(Ax = 0 \iff A^{*}x = 0\)、すなわち \(A\) の零空間は \(A^{*}\) の零空間と一致することを示せ。

一方、非正規行列では必ずしも一致しないことを次の例で確かめよ。

 B = \begin{bmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 1 \end{bmatrix}. 

ヒント

正規行列であることから、任意の \(x\in\mathbb{C}^n\) について \( \lVert Ax\rVert^{2}=\lVert A^{*}x\rVert^{2} \) が成り立つ。

この性質を用いて \(Ax=0\) と \(A^{*}x=0\) の同値性を示す。
一方、与えられた非正規行列では、それぞれの零空間を直接計算して比較する。

解答例

まず \(A\in M_n\) が正規行列であるとする。
正規行列の同値条件より、任意の \(x\in\mathbb{C}^n\) に対して \( \lVert Ax\rVert^{2}=\lVert A^{*}x\rVert^{2} \) が成り立つ。

ここで \(Ax=0\) と仮定すると、左辺は 0 であるから \( \lVert A^{*}x\rVert^{2}=0 \) となり、\(A^{*}x=0\) が従う。

逆に \(A^{*}x=0\) と仮定すると同様に \( \lVert Ax\rVert^{2}=0 \) となり、\(Ax=0\) が得られる。

以上より \( Ax=0 \iff A^{*}x=0 \) が成り立ち、\(A\) の零空間と \(A^{*}\) の零空間は一致する。

次に、非正規行列の例として

B=\begin{bmatrix}0&1\\0&1\end{bmatrix}

を考える。\(Bx=0\) を \(x=(x_1,x_2)^{\top}\) とおくと、 \( Bx=(x_2,x_2)^{\top} \) であるから、\(x_2=0\) が必要十分である。

したがって \( \ker B=\{(x_1,0)^{\top}\mid x_1\in\mathbb{C}\} \) である。

一方、\(B^{*}\) は

B^{*}=\begin{bmatrix}0&0\\1&1\end{bmatrix}

であり、\(B^{*}x=0\) は \( x_1+x_2=0 \) を意味する。

したがって \( \ker B^{*}=\{(x_1,-x_1)^{\top}\mid x_1\in\mathbb{C}\} \) となる。

この二つの零空間は一致しない。

よって、非正規行列では一般に行列とその随伴行列の零空間は一致しないことが分かる。

 


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