[行列解析2.4.p29]単純固有値に対する階数1摂動の正則性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.4.P29

2.4.問題29

\( A \in \mathbb{M}_n \)、\( x, y \in \mathbb{C}^n \) は非零ベクトルで、\( A x = \lambda x \)、\( y^* A = \lambda y^* \) を満たすとする。ここで、\( \lambda \) は単純固有値とする。このとき、任意の \( \kappa \neq 0 \) について

A - \lambda I + \kappa x y^*

は正則(非特異)であることを示せ。

ヒント

\( \lambda \) が単純固有値であることから、右固有ベクトル \( x \) と左固有ベクトル \( y \) に対して \( y^* x \neq 0 \) が成り立つことに注意する。

行列 \( A - \lambda I + \kappa x y^* \) が特異であると仮定し、その零空間のベクトルを考えると矛盾が導かれる。

解答例

\( A x = \lambda x \)、\( y^* A = \lambda y^* \) が成り立ち、\( \lambda \) は単純固有値であるとする。このとき、左固有ベクトルと右固有ベクトルは直交しないので \( y^* x \neq 0 \) が成り立つ。

背理法により示す。ある \( \kappa \neq 0 \) に対して行列 \( A - \lambda I + \kappa x y^* \) が特異であると仮定する。このとき、ある非零ベクトル \( z \in \mathbb{C}^n \) が存在して

(A - \lambda I + \kappa x y^*) z = 0

が成り立つ。これを変形すると

(A - \lambda I) z = - \kappa x y^* z

となる。両辺に左から \( y^* \) を掛けると、\( y^* (A - \lambda I) = 0 \) より

0 = - \kappa y^* x \, y^* z

を得る。ここで \( \kappa \neq 0 \)、\( y^* x \neq 0 \) であるから \( y^* z = 0 \) である。

すると先の式より \( (A - \lambda I) z = 0 \) が成り立ち、\( z \) は固有値 \( \lambda \) に対応する固有ベクトルである。したがって \( z = \alpha x \) と書けるが、このとき \( y^* z = \alpha y^* x \neq 0 \) となり、\( y^* z = 0 \) に矛盾する。

よって仮定は誤りであり、任意の \( \kappa \neq 0 \) に対して \( A - \lambda I + \kappa x y^* \) は正則である。


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