[行列解析2.3.p14]ユニタリ行列とトレースに関する不等式

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.3.P14

2.3.問題14

(a) \( A = [a_{ij}] \in M_n \)、ユニタリ行列 \( V = [v_{ij}] \in M_n \) に対し、以下を示せ:

| \mathrm{tr}(VA) | =
\left| \sum_{i,j} v_{ij} a_{ji} \right|
\le \sum_{i,j} |a_{ji}|

(b) 固有値 \( \lambda_1, \dots, \lambda_n \) に対し:

\sum_i |\lambda_i| \le \sum_{i,j} |a_{ij}|

ヒント

(a) トレースの定義を用いて成分表示する。

ユニタリ行列の成分は絶対値が 1 以下であることを利用し、三角不等式 \( |z_1+\cdots+z_k|\le |z_1|+\cdots+|z_k| \) を使うとよい。

(b) はシュール分解を用いて \(A\) をユニタリ同値で上三角行列に変換し、その対角成分が固有値になることを用いる。

さらに (a) の結果を適切なユニタリ行列に適用する。

解答例

(a) 行列 \(A=[a_{ij}]\in M_n\)、ユニタリ行列 \(V=[v_{ij}]\in M_n\) に対して、トレースの定義より

\mathrm{tr}(VA)=\sum_{i}(VA)_{ii}

が成り立つ。成分表示すると

(VA)_{ii}=\sum_{j}v_{ij}a_{ji}

であるから

\mathrm{tr}(VA)=\sum_{i,j}v_{ij}a_{ji}

となる。よって

\left|\mathrm{tr}(VA)\right|
=\left|\sum_{i,j}v_{ij}a_{ji}\right|
\le \sum_{i,j}|v_{ij}||a_{ji}|

が三角不等式より従う。ユニタリ行列の各成分について \( |v_{ij}|\le 1 \) が成り立つので

\left|\mathrm{tr}(VA)\right|
\le \sum_{i,j}|a_{ji}|

が得られる。これで (a) が示された。

(b) 行列 \(A\) の固有値を \( \lambda_1,\dots,\lambda_n \) とする。複素数体上でのシュール分解により、あるユニタリ行列 \(U\) が存在して

A=UTU^{*}

と表せる。ただし \(T\) は対角成分が \( \lambda_1,\dots,\lambda_n \) の上三角行列である。このとき

\mathrm{tr}(A)=\mathrm{tr}(T)=\sum_{i}\lambda_i


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