[行列解析2.2.6]Spechtの定理

2.2.6 Spechtの定理

定理 2.2.6.

2つの行列 \(A, B \in M_n\) がユニタリ相似であるのは、2つの非可換変数に関する任意の単語 \(W(s,t)\) に対して

(2.2.7)
\mathrm{tr}\, W(A, A^{*}) = \mathrm{tr}\, W(B, B^{*})

が成り立つ場合、かつその場合に限る。

スペヒトの定理は、(2.2.7) を破る具体的な単語を示すことで、2つの行列がユニタリ相似でないことを証明するのに用いることができる。

しかし、特別な場合(2.2.P6 を参照)を除き、与えられた2つの行列がユニタリ相似であることを示すには役に立たない。なぜなら、無限に多くの条件を確認する必要があるからである。

幸いなことに、スペヒトの定理の改良版により、有限個の単語に対するトレース恒等式 (2.2.7) を確認するだけで十分であることが保証される。

これにより、小さいサイズの行列のユニタリ相似性を判定するための実用的な判定基準を与えることができる。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

コメント

タイトルとURLをコピーしました