[行列解析1.3.P16]ランク分解と正則主小行列の存在

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.3.P16

1.3.問題16

\( A \in M_n \) で \( n > \mathrm{rank}\,A = r \geq 1 \) とする。

もし \( A \) が \( B \oplus 0_{n-r} \) (\( B \in M_r \) は正則)に相似であるならば、\( A \) は正則な \( r \times r \) の主小行列をもつこと(すなわち \( A \) はランク主小行列をもつ(0.7.6))を示せ。

逆に、\( A \) がランク主小行列をもつならば、必ず \( B \oplus 0_{n-r} \) に相似であるか?

ヒント

相似変換により行列の形を簡単にし、階数が保存されることに注意する。ブロック対角行列 \( B \oplus 0_{n-r} \) において、正則部分 \( B \) がどのような主小行列を与えるかを考える。また逆については、ランク主小行列の存在が相似標準形まで決定するかを検討する。

解答例

\( A \in M_n \) が \( B \oplus 0_{n-r} \) に相似であると仮定する。すなわち、ある正則行列 \( P \) が存在して

P^{-1} A P =
\begin{pmatrix}
B & 0 \\
0 & 0_{n-r}
\end{pmatrix}

が成り立つ。ここで \( B \in M_r \) は正則であるから、\( \det B \neq 0 \) である。したがって右辺の左上 \( r \times r \) ブロックは正則な主小行列である。

相似変換は行列の階数および「正則な主小行列の存在」という性質を保存するので、元の行列 \( A \) も正則な \( r \times r \) の主小行列をもつ。よって \( A \) はランク主小行列をもつ。

次に逆を考える。\( A \) がランク主小行列をもつ、すなわち \( A \) に正則な \( r \times r \) の主小行列が存在すると仮定する。このとき、行と列の入れ替え(置換行列による相似変換)により、その正則主小行列を左上ブロックに移すことができる。

しかし一般には、この操作だけで残りの成分をすべて零にすることはできない。すなわち、ランク主小行列をもつことから直ちに \( A \) が \( B \oplus 0_{n-r} \) に相似であるとは限らない。

したがって、前半の主張は成り立つが、その逆は一般には成り立たない。


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