[行列解析1.1.P1]正則行列の固有値と逆行列の固有値

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.1.P1

1.1.問題1

観察1.1.7

行列 \( A \in M_n \) は特異行列であることと、\( 0 \in \sigma(A) \) であることは同値である。

\( A \in M_n \) が正則(逆行列を持つ)と仮定する。

観察(1.1.7)によれば、これは \( 0 \notin \sigma(A) \) と同値である。

任意の \( \lambda \in \sigma(A) \) に対して、\( \lambda^{-1} \in \sigma(A^{-1}) \) であることを示せ。

もし \( Ax = \lambda x \) かつ \( x \neq 0 \) ならば、\( A^{-1} x = \lambda^{-1} x \) であることを示せ。

ヒント

正則であることから \(0 \notin \sigma(A)\) が従う。

固有値の定義 \(Ax=\lambda x\) を逆行列で左から作用させることで、固有ベクトルがそのまま使えることに注目するとよい。

解答例

\(A\) は正則であるから、観察1.1.7より \(0 \notin \sigma(A)\) が成り立つ。

したがって、任意の固有値 \( \lambda \in \sigma(A) \) に対して \( \lambda \neq 0 \) である。

いま、\( \lambda \in \sigma(A) \) を任意に取る。このとき、固有値の定義より \(x \neq 0\) なるベクトル \(x\) が存在して \( Ax = \lambda x \) を満たす。

この等式の両辺に左から \(A^{-1}\) を掛けると

\( A^{-1}Ax = A^{-1}\lambda x \)

となる。左辺は \(A^{-1}A = I\) であるから、

\( x = \lambda A^{-1}x \)

が得られる。ここで \( \lambda \neq 0 \) であることから、両辺を \( \lambda \) で割ると

\( A^{-1}x = \lambda^{-1}x \)

となる。したがって、\(x \neq 0\) は \(A^{-1}\) の固有ベクトルであり、その固有値は \( \lambda^{-1} \) である。

以上より、任意の \( \lambda \in \sigma(A) \) に対して \( \lambda^{-1} \in \sigma(A^{-1}) \) が成り立つことが示された。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました