[行列解析1.0.1]基底の変換と相似

1.固有値・固有ベクトル・相似

1.0.1 基底の変換と相似

すべての可逆行列は基底変換行列であり、またすべての基底変換行列は可逆である(0.10)。 したがって、もし \( B \) がベクトル空間 \( V \) のある基底で、\( T \) が \( V \) 上の線形変換であり、\( A = B[T]_{B} \) が \( T \) の \( B \) 基底における表現であるとすると、\( T \) の取り得るすべての基底表現の集合は次のようになる。

 \{\, B_{1}[I]_{B} \, B[T]_{B} \, B[I]_{B_{1}} \;:\; B_{1} \text{ は } V \text{ の基底} \,\} 

これは、次の集合と等しい。

 \{\, S^{-1} A S \;:\; S \in M_{n}(F) \text{ が可逆} \,\} 

これは、与えられた行列 \( A \) に相似なすべての行列の集合である。

相似だが同一ではない行列は、つまり単にひとつの線形変換に対する異なる基底での表現にすぎない。

相似な行列は、多くの重要な性質を共有することが期待される。少なくとも、その線形変換自体に固有の性質は共有すると考えられる。これは線形代数における重要なテーマである。 しばしば、特定の行列についての問いを、その行列が表している線形変換の固有の性質についての問いに置き換えて考えることが有用である。その線形変換は、多くの異なる行列表現を持つ可能性があるからである。

この「相似」という概念は、本章における重要なキーワードである。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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