2.2ユニタリ類似

定理 2.2.8: \( A, B \in M_n \) を行列とする。

(a) \( A \) と \( B \) がユニタリ類似であることと、2つの非可換変数 \( s, t \) に関するすべての語 \( W(s, t) \) で、次の等式

\mathrm{tr}(W(A, A^*)) = \mathrm{tr}(W(B, B^*))

が成り立つことは同値である。ただし、対象とする語 \( W(s, t) \) の長さは次の数以下であればよい:

\left\lfloor \frac{2n^2}{n - 1} + \frac{1}{4} + \frac{n}{2} - 2 \right\rfloor

(b) \( n = 2 \) のとき、語 \( W(s, t) = s,\ s^2,\ st \) に対して上の等式が成り立つことと、\( A \) と \( B \) がユニタリ類似であることは同値である。

(c) \( n = 3 \) のとき、語 \( W(s, t) = s,\ s^2,\ st,\ s^3,\ s^2t,\ s^2t^2,\ s^2t^2st \) に対して上の等式が成り立つことと、\( A \) と \( B \) がユニタリ類似であることは同値である。

(d) \( n = 4 \) のとき、以下の20個の語 \( W(s, t) \) に対して等式が成り立つことと、\( A \) と \( B \) がユニタリ類似であることは同値である:

長さ1〜2:
\( s;\ s^2,\ st \)

長さ3〜4:
\( s^3,\ s^2t;\ s^4,\ s^3t,\ s^2t^2,\ stst \)

長さ5〜6:
\( s^3t^2;\ s^2ts^2t,\ s^2t^2st,\ t^2s^2ts \)

長さ7〜8:
\( s^3t^2st,\ s^3t^2s^2t,\ s^3t^3st,\ t^3s^3ts \)

長さ9以上:
\( s^3ts^2tst,\ s^2t^2sts^2t,\ s^3t^3s^2t^2 \)

なお、2つの実行列がユニタリ類似であることと、それらが実直交類似(orthogonally similar)であることは同値である(定理 2.5.21 を参照)。したがって、上記の定理 2.2.8 の判定基準は、実行列 \( A, B \) が実直交類似であるための必要十分条件でもある。

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