2.6.P39
2.6.問題39
\(A \in M_n\) が共反転行列 (coninvolutory) で、すなわち \(A\) が正則で \(A = \bar A^{-1}\) であるとする。
1 でない \(A\) の特異値が互いに逆数のペアで現れる理由を説明せよ。
ヒント
条件 \(A = \bar A^{-1}\) から、両辺に適切な共役や転置を施すことで \(A^* A\) の形を調べる。
特異値は \(A^* A\) の固有値の正の平方根であることを用いる。
もし \(\lambda\) が \(A^* A\) の固有値であれば、 その逆数も固有値になることを示せばよい。
解答例
\(A\) は共反転行列であるから、
A = \bar A^{-1}
が成り立つ。両辺の共役転置をとると、
A^* = ( \bar A^{-1} )^*
である。 ここで \((\bar A)^* = A^{\top}\) であることを用いると、
A^* = (A^{-1})^{\top}
を得る。 したがって
A^* A
=
(A^{-1})^{\top} A
となる。
いま \(\lambda > 0\) を \(A^* A\) の固有値とし、 対応する固有ベクトルを \(x\) とする。 すなわち \( A^* A x = \lambda x \) である。
両辺に \(A^{-1}\) を左から掛けると、
A^{-1} A^* A x
=
\lambda A^{-1} x
となる。 ここで上の関係式を用いて整理すると、 \( A A^* = (A^* A)^{-1} \) が成り立つことが分かる。
実際、 \(A = \bar A^{-1}\) より \( \bar A = A^{-1} \) であるから、
A^* A
=
(\bar A)^{\top} A
=
(A^{-1})^{\top} A
であり、これを整理すると
A A^*
=
(A^* A)^{-1}
を得る。
したがって \(\lambda\) が \(A^* A\) の固有値であれば、 \(\lambda^{-1}\) も固有値となる。
特異値は \(A^* A\) の固有値の正の平方根であるから、 もし \(\sigma\) が \(A\) の特異値であれば、 \(\sigma^{-1}\) も特異値である。
よって 1 でない特異値は必ず \(\sigma\) と \(\sigma^{-1}\) という逆数のペアで現れる。 なお \(\sigma = 1\) の場合は自分自身が逆数であるため、単独で現れてもよい。
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