[行列解析2.6.p26]正規行列や射影行列と特異値分解の同値条件

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P26

2.6.問題26

\(A \in M_n\)、\(\mathrm{rank}(A) = r \lt n\) とし、(2.6.9) の表現を考える。

(2.6.9)
A = U 
\begin{pmatrix} \Sigma_r K & \Sigma_r  L \\ 0 & 0_{n-r} \end{pmatrix} 
U^*, \quad K K^* + L L^* = I_r

(a) \(A\) が正規であることと、\(L = 0\) かつ \(\Sigma_r K = K \Sigma_r\) が同値であることを示せ。

(b) \(A^2 = 0\) であることと、\(K = 0\) であることが同値である(この場合 \(LL^* = I_r\))。

(c) \(A^2 = 0\) であることと、\(A\) が (2.6.8) の形式の直和にユニタリ合同であることは同値である。

(2.6.8)
\sigma_1 
\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} 
\oplus \cdots \oplus 
\sigma_r 
\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} 
\oplus 0_{n-2r}

ヒント

(2.6.9) の表示はユニタリ合同であるから、正規性や冪零性は中央のブロック行列について調べれば十分である。

まず随伴行列を計算して \(A^*A\) と \(AA^*\) を比較する。

(b) ではブロック行列の二乗を直接計算する。(c) では (b) と既知の標準形 (2.6.8) を結びつける。

解答例

(2.6.9) より

A = U
\begin{pmatrix}
\Sigma_r K & \Sigma_r L \\
0 & 0
\end{pmatrix}
U^*

と書ける。ユニタリ合同は正規性や冪零性を保存するので、中央の行列

M =
\begin{pmatrix}
\Sigma_r K & \Sigma_r L \\
0 & 0
\end{pmatrix}

について調べれば十分である。

(a) まず随伴は

M^* =
\begin{pmatrix}
K^* \Sigma_r & 0 \\
L^* \Sigma_r & 0
\end{pmatrix}

である。したがって

MM^* =
\begin{pmatrix}
\Sigma_r (K K^* + L L^*) \Sigma_r & 0 \\
0 & 0
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
\Sigma_r^2 & 0 \\
0 & 0
\end{pmatrix}

ここで条件 \(K K^* + L L^* = I_r\) を用いた。一方

M^* M =
\begin{pmatrix}
K^* \Sigma_r^2 K & K^* \Sigma_r^2 L \\
L^* \Sigma_r^2 K & L^* \Sigma_r^2 L
\end{pmatrix}

である。正規性 \(MM^* = M^*M\) が成り立つためには、右上・左下ブロックが 0 でなければならない。すなわち

K^* \Sigma_r^2 L = 0, \quad
L^* \Sigma_r^2 K = 0

が必要である。さらに左上ブロックの比較より

K^* \Sigma_r^2 K = \Sigma_r^2

が従う。ここで \(\Sigma_r\) は正則対角行列であるから、上式は \(\Sigma_r K = K \Sigma_r\) と同値である。また交差項が 0 となるためには \(L=0\) であることが必要十分である。よって \(A\) が正規であることと \(L=0\) かつ \(\Sigma_r K = K \Sigma_r\) は同値である。

(b) 次に

M^2 =
\begin{pmatrix}
(\Sigma_r K)^2 & \Sigma_r K \Sigma_r L \\
0 & 0
\end{pmatrix}

である。したがって \(A^2=0\) は \(M^2=0\) と同値であり、特に左上ブロックが 0 となるためには

\Sigma_r K = 0

が必要である。\(\Sigma_r\) は正則であるから \(K=0\) が従う。逆に \(K=0\) ならば明らかに \(M^2=0\) である。また条件 \(K K^* + L L^* = I_r\) より、このとき \(L L^* = I_r\) である。

(c) (b) より \(A^2=0\) は \(K=0\) と同値である。このとき

M =
\begin{pmatrix}
0 & \Sigma_r L \\
0 & 0
\end{pmatrix}

となる。ここで \(L L^* = I_r\) であるから、適当なユニタリ行列により \(\Sigma_r L\) は \(\Sigma_r\) に直すことができる。したがって \(A\) は

\sigma_1
\begin{pmatrix}
0 & 1 \\
0 & 0
\end{pmatrix}
\oplus \cdots \oplus
\sigma_r
\begin{pmatrix}
0 & 1 \\
0 & 0
\end{pmatrix}
\oplus 0_{n-2r}

の直和とユニタリ合同である。

(c) 逆にこの形は明らかに二乗すると 0 である。よって (c) が従う。


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