[行列解析2.6.p13]特異値とユニタリ性の特徴

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P13

2.6.問題13

\(A \in M_n\) とし、\(A = V \Sigma W^*\) を特異値分解とする。

(a) \(A\) がユニタリであることと \(\Sigma = I\) であることは同値であることを示せ。

(b) \(A\) がユニタリ行列のスカラー倍であることは、\(x, y \in \mathbb{C}^n\) が直交するとき \(Ax\) と \(Ay\) も直交することと同値であることを示せ。

ヒント

(a) では \(A^*A = I\) を特異値分解 \(A = V\Sigma W^*\) に代入して考えると、\(A^*A = W\Sigma^2 W^*\) となることを用いる。

(b) では内積 \(\langle Ax, Ay\rangle = \langle x, A^*Ay\rangle\) を用いて、直交性保存が \(A^*A\) の形を制限することを示すとよい。

解答例

(a) まず \(A = V\Sigma W^*\) とする。このとき

A^*A = W \Sigma^2 W^*

である。\(A\) がユニタリであることは \(A^*A = I\) と同値であるから、

W \Sigma^2 W^* = I

となる。両辺に \(W^*\) と \(W\) を掛けると

\Sigma^2 = I

を得る。特異値は非負であるから \(\Sigma = I\) である。逆に \(\Sigma = I\) ならば

A = V W^*

となり、ユニタリ行列の積であるから \(A\) はユニタリである。よって両者は同値である。

(b) まず \(A\) がユニタリ行列のスカラー倍、すなわち \(A = \lambda U\)(\(\lambda \in \mathbb{C}\)、\(U\) ユニタリ)とする。このとき

\langle Ax, Ay\rangle 
= \langle \lambda Ux, \lambda Uy\rangle 
= |\lambda|^2 \langle Ux, Uy\rangle 
= |\lambda|^2 \langle x, y\rangle

であるから、\(\langle x, y\rangle = 0\) ならば \(\langle Ax, Ay\rangle = 0\) となる。

逆に、\(x \perp y\) ならば常に \(Ax \perp Ay\) とする。このとき

\langle Ax, Ay\rangle 
= \langle x, A^*A y\rangle

である。直交性が保存されるということは、任意の \(x \perp y\) に対し \(\langle x, A^*A y\rangle = 0\) であることを意味する。これは \(A^*A\) がある定数倍の単位行列であることと同値である。したがって、ある実数 \(c \ge 0\) が存在して

A^*A = c I

となる。特異値分解より

W \Sigma^2 W^* = c I

であるから \(\Sigma^2 = c I\)、すなわちすべての特異値が \(\sqrt{c}\) に等しい。よって

A = V (\sqrt{c} I) W^* 
= \sqrt{c} (V W^*)

となる。ここで \(VW^*\) はユニタリであるから、\(A\) はユニタリ行列のスカラー倍である。以上より同値が示された。


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