[行列解析2.6.p11]可換性と同時特異値分解の同値

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P11

2.6.問題11

\(A \in M_{m,n}\) および正規行列 \(B \in M_n\) を与える。

このとき、\(A^* A\) が \(B\) と可換であることと、ユニタリ行列 \(V \in M_m\)、\(W \in M_n\) および対角行列 \(\Sigma \in M_{m,n}, \Delta \in M_n\) が存在して \(A = V \Sigma W^*\)、\(B = W \Delta W^*\) となることは同値であることを示せ。

ヒント

正規行列 \(B\) はユニタリ対角化できる。

さらに \(A^*A\) はエルミート行列である。

エルミート行列と正規行列が可換であれば、同じユニタリ行列で同時に対角化できる。

まず \(B = W \Delta W^*\) と書き、\(W^*A^*AW\) を考えるとよい。

(⇐) 方向は直接計算で確かめられる。

解答例

(⇒) を示す。

\(B\) は正規行列であるから、あるユニタリ行列 \(W \in M_n\) と対角行列 \(\Delta\) が存在して

B = W \Delta W^*

と書ける。仮定より \(A^*A\) は \(B\) と可換であるから

A^*A \, B = B \, A^*A

が成り立つ。上式に \(W^*\) と \(W\) を掛けると

W^* \, (A^*A) \, (W \Delta W^*) W = W^* \, (W \Delta W^*) \, (A^*A) \,W  \\
(W^*A^*AW)\Delta = \Delta (W^*A^*AW)

を得る。ここで \(W^*A^*AW\) はエルミート行列である。
対角行列 \(\Delta\) と可換な行列は、\(\Delta\) の固有空間ごとに分解される。
したがって、各固有空間上で \(W^*A^*AW\) はエルミート行列であるから、さらにユニタリ行列で対角化できる。

ゆえに、あるユニタリ行列 \(U \in M_n\) が存在して

U^* (W^*A^*AW) U = \Sigma^2

となる。ただし \(\Sigma^2\) は非負の対角行列である。そこで

\widetilde{W} = WU

とおくと、

\widetilde{W}^* A^*A \widetilde{W} = \Sigma^2

である。

したがって \(A\) の特異値分解より、あるユニタリ行列 \(V \in M_m\) が存在して

A = V \Sigma \widetilde{W}^*

と書ける。一方、\(B = W \Delta W^* = \widetilde{W} \Delta \widetilde{W}^*\) である。よって所望の形が得られる。

(⇐) を示す。

いま

A = V \Sigma W^*, \qquad B = W \Delta W^*

とする。このとき

A^*A = W \Sigma^2 W^*

であるから、

A^*A \, B 
= W \Sigma^2 W^* W \Delta W^* 
= W \Sigma^2 \Delta W^*

および

B \, A^*A 
= W \Delta W^* W \Sigma^2 W^* 
= W \Delta \Sigma^2 W^*

を得る。ここで \(\Sigma^2\) と \(\Delta\) はともに対角行列であるから可換である。よって

A^*A \, B = B \, A^*A

が成り立つ。以上より二条件は同値である。


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