[行列解析2.6.p10]特異値による三条件の同値性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P10

2.6.問題10

\(A, B \in M_n\) を与え、\(A\) の特異値を \(\sigma_1 \ge \cdots \ge \sigma_n \ge 0\) とし、\(\Sigma = \mathrm{diag}(\sigma_1, \ldots, \sigma_n)\) とする。

次の三つの条件が同値であることを示せ:

(a) \(A^* A = B^* B\);

(b) ユニタリ行列 \(W, X, Y \in M_n\) が存在して \(A = X \Sigma W^*\) および \(B = Y \Sigma W^*\);

(c) ユニタリ行列 \(U \in M_n\) が存在して \(B = UA\)。
一般化については (7.3.11) を参照。

ヒント

まず \(A\) の特異値分解を用いると、あるユニタリ行列 \(V, W\) が存在して \(A = V \Sigma W^*\) と書ける。

条件 (a) の \(A^*A = B^*B\) は、両者の特異値が一致することを意味する。

そこで \(B\) についても特異値分解を考えると、同じ \(\Sigma\) を用いて表せることがわかる。

(b) から (c) へは、\(B = Y \Sigma W^*\)、\(A = X \Sigma W^*\) を比較し、\(U = YX^*\) とおけばよい。

(c) から (a) は直接計算で示せる。

解答例

まず (a) から (b) を示す。\(A\) の特異値分解をとると、ユニタリ行列 \(V, W \in M_n\) が存在して

A = V \Sigma W^*

と書ける。このとき

A^*A = W \Sigma^2 W^*

となる。仮定 (a) より \(A^*A = B^*B\) であるから、

B^*B = W \Sigma^2 W^*

が成り立つ。したがって \(B^*B\) の固有値は \(\Sigma^2\) の対角成分であり、\(B\) の特異値も \(\sigma_1,\ldots,\sigma_n\) に一致する。よって \(B\) の特異値分解をとれば、あるユニタリ行列 \(Y \in M_n\) が存在して

B = Y \Sigma W^*

と書ける。ここで \(X = V\) とおけば (b) が従う。

次に (b) から (c) を示す。(b) より

A = X \Sigma W^*, \qquad B = Y \Sigma W^*

である。ここで \(U = YX^*\) とおくと、\(U\) はユニタリであり、

UA = YX^* X \Sigma W^* = Y \Sigma W^* = B

となるので (c) が従う。

最後に (c) から (a) を示す。\(B = UA\) とすると、\(U\) はユニタリであるから \(U^*U = I\) である。よって

B^*B = (UA)^*(UA) = A^* U^* U A = A^*A

が成り立つ。

以上より (a), (b), (c) は互いに同値である。


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