[行列解析2.6.p7]ユニタリ合同と特異値の一致条件

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P7

2.6.問題7

同じサイズの2つの複素行列がユニタリ合同であるのは、特異値が一致する場合に限ることを示せ。

特異値とは

行列 \( A \in M_{m,n} \) を与える。

ここで \( q = \min\{m, n\} \) とし、さらに \(r=\mathrm{rank}\,A\) であるとする。

この時、ユニタリ行列 \( V \in M_m \) および \( W \in M_n \) と次のような正方対角行列 \( \Sigma_q \) が存在します。

(2.6.3.1)
\Sigma_q =
\begin{bmatrix}
\sigma_{1} & 0 & \cdots & 0 \\
0 & \sigma_{2} & \cdots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & 0 & \cdots & \sigma_{q}
\end{bmatrix}

(2.6.3.1)
\Sigma_q =
\begin{bmatrix}
\sigma_{1} & 0 & \cdots & 0 \\
0 & \sigma_{2} & \cdots & 0 \\
\vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\
0 & 0 & \cdots & \sigma_{q}
\end{bmatrix}

ここで \(\sigma_{1} \geq \sigma_{2} \geq \cdots \geq \sigma_{r} \gt 0 = \sigma_{r+1} = \cdots = \sigma_{q}\) であり、次が成り立ちます:

A = V \Sigma W^{*}

\(\Sigma \)は、次のように場合分けされます。

(2.6.3.2)

もし \( m = n \) ならば、

\Sigma =
\Sigma_q
\in M_{n}

もし \( n \gt m \) ならば、

\Sigma =
\begin{bmatrix}
\Sigma_q & 0
\end{bmatrix}
\in M_{m,n}

もし \( m \gt n \) ならば、

\Sigma =
\begin{bmatrix}
\Sigma_q \\
0
\end{bmatrix}
\in M_{m,n}

パラメータ \( \sigma_{1}, \ldots, \sigma_{r} \) を特異値と呼ぶ。

特異値は行列 \( AA^{*} \) の非零固有値を大きい順に並べ、その平方根を取った正の値です。

これらは、行列 \( A^{*}A \) の非零固有値を大きい順に並べたものと同じです。

ヒント

ユニタリ合同とは、同じサイズの行列 \( A, B \in M_{m,n} \) に対して、ユニタリ行列 \( U \in M_m \)、\( W \in M_n \) が存在して \( B = U A W^* \) と書けることである。

特異値分解 \( A = V \Sigma W^* \) を用いると、特異値は \( A^*A \) や \( AA^* \) の固有値によって決まる量である。ユニタリ変換は固有値を保存することを利用する。

解答例

まず、\( A \in M_{m,n} \) に対し、特異値分解が存在する。

A = V \Sigma W^*

ここで \( V \in M_m \)、\( W \in M_n \) はユニタリ行列であり、\( \Sigma \) は非負実数 \( \sigma_1 \ge \cdots \ge \sigma_q \ge 0 \) を対角成分にもつ標準形である。

(必要性) \( A \) と \( B \) がユニタリ合同であると仮定する。すなわち \( B = U A W^* \) となるユニタリ行列 \( U, W \) が存在する。

B = U A W^*

このとき

BB^* = U A W^* W A^* U^* = U A A^* U^*

したがって \( BB^* \) は \( AA^* \) とユニタリ相似である。ユニタリ相似な行列は固有値を保つので、\( AA^* \) と \( BB^* \) は同じ固有値をもつ。

特異値は \( AA^* \) の非零固有値の平方根であるから、\( A \) と \( B \) は同じ特異値をもつ。

(十分性) 次に、\( A \) と \( B \) が同じ特異値をもつと仮定する。それぞれ特異値分解をとる。

A = V_1 \Sigma W_1^*, \qquad
B = V_2 \Sigma W_2^*

特異値が一致するので、対角行列 \( \Sigma \) は共通にとれる。

すると

B = V_2 \Sigma W_2^*
= V_2 V_1^* A W_1 W_2^*

ここで \( U = V_2 V_1^* \)、\( W = W_2 W_1^* \) とおけば、いずれもユニタリ行列であり、

B = U A W^*

が成り立つ。よって \( A \) と \( B \) はユニタリ合同である。

以上より、同じサイズの2つの複素行列がユニタリ合同であることと、それらの特異値が一致することは同値である。


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