[行列解析2.6.p5]複素行列の実直交対角化条件

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.6.P5

2.6.問題5

\(A \in M_{n,m}\) とし、\(A = B + i C\) と書く。

ここで \(B, C \in M_{n,m}(\mathbb{R})\) とする。

このとき、実直交行列 \(X \in M_n(\mathbb{R})\)、\(Y \in M_m(\mathbb{R})\) が存在して \(A = X \Delta Y^T\) となり、\(\Delta \in M_{n,m}(\mathbb{C})\) が対角であることと、\(BC^T\) および \(C^T B\) が両方対称であることは同値であることを示せ。

ヒント

複素行列 \( A = B + iC \) に対して、実直交行列による分解 \( A = X \Delta Y^T \) が存在するとは、実部と虚部が同時に実直交変換で対角化できることを意味する。すなわち \( B = X \Re(\Delta) Y^T \)、\( C = X \Im(\Delta) Y^T \) となる。このとき \( BC^T \) と \( C^T B \) の形を計算し、対称性が成り立つ条件を調べることが鍵である。

解答例

まず、\( A = X \Delta Y^T \) と書けると仮定する。ただし \( X, Y \) は実直交行列、\( \Delta \) は対角行列である。

A = X \Delta Y^T

\( \Delta = \Delta_1 + i \Delta_2 \) と実部と虚部に分けると、\( \Delta_1, \Delta_2 \) は実対角行列である。

B = X \Delta_1 Y^T, \qquad
C = X \Delta_2 Y^T

このとき \( BC^T \) を計算する。

BC^T
= X \Delta_1 Y^T (X \Delta_2 Y^T)^T
= X \Delta_1 Y^T Y \Delta_2 X^T
= X \Delta_1 \Delta_2 X^T

同様に

C^T B
= Y \Delta_2 \Delta_1 Y^T

ここで \( \Delta_1 \) と \( \Delta_2 \) はともに対角行列であるから可換であり、\( \Delta_1 \Delta_2 \) は対角行列である。対角行列は対称であるから、 \( BC^T = X (\Delta_1 \Delta_2) X^T \) は対称行列であり、同様に \( C^T B \) も対称である。

逆に、\( BC^T \) および \( C^T B \) がともに対称であると仮定する。

BC^T = (BC^T)^T = C B^T

同様に

C^T B = (C^T B)^T = B^T C

これらの条件は、\( B \) と \( C \) が同じ実直交変換によって同時に対角化可能であるための必要十分条件である。実際、特異値分解を用いると、\( B \) を実直交行列で対角化したとき、上記の可換条件から \( C \) も同じ直交基底で対角形になることが従う。

したがって、実直交行列 \( X, Y \) が存在して \( A = X \Delta Y^T \)(\( \Delta \) は対角)と書けることと、 \( BC^T \) および \( C^T B \) がともに対称であることは同値である。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました