2.6.2
定理 2.6.2.
\( A, B \in M_n(\mathbb{R}) \) とする。
このとき、実直交行列 \( V, W \in M_n \) が存在して、\( A = V T_A W^T \)、\( B = V T_B W^T \) が成り立ち、さらに \( T_A \) は実の上準三角行列、\( T_B \) は実の上三角行列となる。
証明.
\( B \) が正則である場合、(2.3.4) を用いると \( B^{-1} A = U T U^T \) と書ける。
ここで \( U \) は実直交行列であり、\( T \) は実の上準三角行列である。
(2.1.14(d)) を用いると \( B U = Q R \) と書ける。
ここで \( Q \) は実直交行列であり、\( R \) は実の上三角行列である。
このとき \( R U \) は上準三角行列となり、
A = Q (R T) U^T, \quad B = Q R U^T
が成り立つ。
もし \( A \) と \( B \) がともに特異行列である場合には、前の証明における極限論法の実数版を用いることができる。■
正規行列である正方行列のみがユニタリ相似によって対角化できるが、任意の複素行列はユニタリ同値によって対角化可能である。
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