[行列解析2.5.P67]正規行列における零積の可換性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P67

2.5.問題67

\( A, B \in M_n \) が正規行列であるとき、\( AB = 0 \) であることと \( BA = 0 \) であることは同値であることを示せ。

ヒント

正規行列はユニタリ相似により対角化できる。

したがって、適切なユニタリ変換を施せば、積 \( AB \) や \( BA \) の零性は対角成分ごとに調べることができる。

解答例

\( A,B \in M_n \) を正規行列とする。正規行列はユニタリ相似により対角化可能であるから、あるユニタリ行列 \( U \) が存在して \( A = U D_A U^\ast \) と書ける。ただし \( D_A \) は対角行列である。

このとき \( AB = 0 \) は \( D_A (U^\ast B U) = 0 \) と同値である。ここで \( C = U^\ast B U \) とおくと、\( B \) が正規であることから \( C \) も正規行列である。

\( D_A \) は対角行列であるから、積 \( D_A C = 0 \) は、各対角成分 \( (D_A)_{ii} \) に対して \( (D_A)_{ii} C_{ij} = 0 \) がすべての \( j \) について成り立つことを意味する。

同様に、 \( BA = 0 \) は \( C D_A = 0 \) と同値であり、これは \( C_{ij} (D_A)_{jj} = 0 \) がすべての \( i \) について成り立つことを意味する。

正規行列 \( C \) では、行と列の零構造は一致するため、 \( D_A C = 0 \) が成り立つことと \( C D_A = 0 \) が成り立つことは同値である。

以上より、 \( AB = 0 \) であることと \( BA = 0 \) であることは同値である。


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