[行列解析2.5.P63]正規な三重対角行列の隣接成分の性質

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P63

2.5.問題63

\( A = [a_{ij}] \in M_n \) が三重対角行列であるとする。

もし \( A \) が正規ならば、各 \( i = 1, \ldots, n-1 \) に対して

 |a_{i,i+1}| = |a_{i+1,i}| 

が成り立つことを示せ。

逆はどうか? (2.5.P38(d)) と比較せよ。

ヒント

正規行列であることは \( A^*A = AA^* \) が成り立つことと同値である。

三重対角行列では、この等式の対角成分を比較すると、隣り合う非零成分の大きさに条件が現れる。

解答例

\( A = [a_{ij}] \) を三重対角行列とする。すなわち、\( a_{ij} = 0 \) は \( |i-j| \ge 2 \) のときに成り立つ。

\( A \) が正規であるから \( A^*A = AA^* \) が成り立つ。両辺の \( (i,i) \) 成分を比較する。

まず \( A^*A \) の \( (i,i) \) 成分は

(A^*A)_{ii}
= |a_{i,i-1}|^2 + |a_{i,i}|^2 + |a_{i,i+1}|^2

同様に \( AA^* \) の \( (i,i) \) 成分は

(AA^*)_{ii}
= |a_{i-1,i}|^2 + |a_{i,i}|^2 + |a_{i+1,i}|^2

正規性より \( (A^*A)_{ii} = (AA^*)_{ii} \) であるから、 \( |a_{i,i-1}|^2 + |a_{i,i+1}|^2 = |a_{i-1,i}|^2 + |a_{i+1,i}|^2 \) が成り立つ。

これを \( i \) と \( i+1 \) に関して順に用いると、各 \( i = 1, \ldots, n-1 \) に対して \( |a_{i,i+1}| = |a_{i+1,i}| \) が従う。

逆に、すべての \( i \) に対して \( |a_{i,i+1}| = |a_{i+1,i}| \) が成り立っても、一般には \( A \) が正規であるとは限らない。正規性には、対角成分や位相(偏角)に関する条件も必要であり、大きさの一致だけでは十分条件とはならない。


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