[行列解析2.5.P57]正規対称行列と歪対称行列の直交標準形

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P57

2.5.問題57

\( A \in M_n \) とする。

(a) \( A \) が正規かつ対称であることと、実直交行列 \( Q \in M_n \) と対角行列 \(\Lambda \in M_n\) が存在して \( A = Q \Lambda Q^{\top} \) と表せることは同値である。

(b) \( A \) が正規かつ歪対称であることと、実直交行列 \( Q \in M_n \) が存在して

 Q^{\top} A Q = \text{diag}\left(0, \begin{bmatrix}0 & z_j \\ -z_j & 0\end{bmatrix}, \ldots \right), \quad z_j \in \mathbb{C} 

とブロック対角化できることは同値である。

ヒント

正規性からユニタリ対角化が可能である。さらに対称性や歪対称性を用いることで、固有値や固有空間に制約が生じ、ユニタリ行列を実直交行列に取り替えることができる。

解答例

(a) まず \( A \) が正規かつ対称であると仮定する。対称性より \( A^{\top}=A \) であり、正規性より \( A^*A=AA^* \) が成り立つ。実行列であるから \( A^*=A^{\top}=A \) であり、したがって \( A \) は自己共役である。

自己共役行列に対するスペクトル定理より、実直交行列 \( Q \) と実対角行列 \( \Lambda \) が存在して

A = Q \Lambda Q^{\top}

と表される。

逆に、ある実直交行列 \( Q \) と対角行列 \( \Lambda \) により \( A = Q \Lambda Q^{\top} \) と表されるとする。このとき \( A^{\top}=A \) が成り立ち、また \( A^*A=AA^* \) も容易に確認できるので、\( A \) は正規かつ対称である。

(b) 次に \( A \) が正規かつ歪対称、すなわち \( A^{\top}=-A \) であると仮定する。正規性より \( A \) はユニタリ相似により対角化可能であり、その固有値は純虚数または 0 に限られる。

実行列であることから、非零固有値は共役な対として現れ、それぞれに対応する 2 次元不変部分空間上で、\( A \) は

\begin{bmatrix}
0 & z_j \\
- z_j & 0
\end{bmatrix}

の形で表される。零固有値に対応する部分は 1 次元の零ブロックとなる。

したがって、ある実直交行列 \( Q \) が存在して

Q^{\top} A Q = \mathrm{diag}\left(0,
\begin{bmatrix}0 & z_1 \\ -z_1 & 0\end{bmatrix},
\ldots,
\begin{bmatrix}0 & z_m \\ -z_m & 0\end{bmatrix}
\right)

とブロック対角化できる。

逆に、この形に直交相似で表される行列は、各ブロックが歪対称であり、全体としても歪対称である。また各ブロックが正規であるため、全体として正規行列となる。以上より (b) の同値性が示された。


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