[行列解析2.5.P51]正規行列の数値域と固有値の凸包

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P51

2.5.問題51

\( A \in M_n \) を正規行列とし、スペクトル分解 \( A = U \Lambda U^* \) を考える。

ただし \(\Lambda = \mathrm{diag}(\lambda_1, \ldots, \lambda_n)\) である。

任意の単位ベクトル \( x \in \mathbb{C}^n \) に対し、\(\xi = [\xi_i] = U^*x\) とおく。

このとき

 x^* A x = \sum_{i=1}^n |\xi_i|^2 \lambda_i 

が成り立つことを説明せよ。

また、\(x^*Ax\) が \( A \) の固有値の凸包に含まれること、さらに凸包上の任意の複素数はある単位ベクトル \( x \) に対する \( x^*Ax \) として実現できることを示せ。

したがって、\( A \) が正規行列であるとき、任意の単位ベクトル \( x \) に対して \( x^*Ax \neq 0 \) であることと、0 が固有値の凸包に含まれないことは同値である。

ヒント

正規行列はユニタリ行列によって対角化できる。

単位ベクトル \( x \) を固有ベクトル基底で展開すると、二次形式 \( x^*Ax \) は固有値の重み付き平均として表される。

この重みは非負で総和が 1 になるため、凸結合として解釈できる点が重要である。

解答例

\( A \in M_n \) を正規行列とし、そのスペクトル分解を \( A = U \Lambda U^* \) とする。ただし \( U \) はユニタリ行列、\( \Lambda = \mathrm{diag}(\lambda_1,\ldots,\lambda_n) \) は対角行列である。

任意の単位ベクトル \( x \in \mathbb{C}^n \) に対し、\( \xi = U^*x \) とおく。\( U \) はユニタリであるから、\( \xi \) も単位ベクトルであり、すなわち \( \sum_{i=1}^n |\xi_i|^2 = 1 \) が成り立つ。

このとき、

x^*Ax = x^*U\Lambda U^*x = \xi^*\Lambda\xi = \sum_{i=1}^n |\xi_i|^2 \lambda_i

を得る。ここで係数 \( |\xi_i|^2 \) はすべて非負であり、その総和は 1 である。したがって \( x^*Ax \) は固有値 \( \lambda_1,\ldots,\lambda_n \) の凸結合として表され、\( x^*Ax \) は \( A \) の固有値の凸包に含まれる。

逆に、固有値の凸包上の任意の複素数は、ある非負数列 \( (t_1,\ldots,t_n) \) で \( \sum_{i=1}^n t_i = 1 \) を満たすものを用いて \( \sum_{i=1}^n t_i \lambda_i \) と書ける。このとき \( |\xi_i|^2 = t_i \) となるように \( \xi \) を取れば、\( \xi \) は単位ベクトルとなる。

さらに \( x = U\xi \) と定めれば \( x \) も単位ベクトルであり、

x^*Ax = \sum_{i=1}^n t_i \lambda_i

が成り立つ。よって、凸包上の任意の点はある単位ベクトル \( x \) に対する \( x^*Ax \) として実現できる。

以上より、正規行列 \( A \) の数値域はその固有値の凸包と一致する。


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