[行列解析2.5.P50]反転行列の対称性と固有値の性質

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P50

2.5.問題50

反転行列 \( K_n \) (0.9.5.1) は実対称である。

(0.9.5.1)
K_n =
\begin{bmatrix}
0  & \cdots  & 0  & 1 \\
0  & \cdots  & 1  & 0 \\
\vdots  & \cdot & \vdots  & \vdots \\
1  & \dots  & 0  & 0 \\
\end{bmatrix}
=
\begin{bmatrix}
\kappa_{ij}
\end{bmatrix}
\in \mathbb{M}_n

ここで、成分は \(\kappa_{i,n-i+1} = 1\) で、他は0。

さらに実直交行列でもあることを確認せよ。

その固有値が ±1 であることを説明せよ。

また、\( n \) が偶数のとき \(\mathrm{tr}(K_n) = 0\)、\( n \) が奇数のとき \(\mathrm{tr}(K_n) = 1\) であることを確認せよ。

さらに、\( n \) が偶数なら固有値は ±1 がそれぞれ重複度 \( n/2 \) を持ち、\( n \) が奇数なら固有値 +1 の重複度は \((n+1)/2\)、−1 の重複度は \((n-1)/2\) であることを説明せよ。

ヒント

反転行列 \( K_n \) は成分表示から転置との関係を直接確認できる。また \( K_n^2 = I \) が成り立つことから直交性や固有値の候補が分かる。跡は対角成分の個数を数えることで求められる。

解答例

反転行列 \( K_n = (\kappa_{ij}) \in M_n \) は、\( \kappa_{i,n-i+1} = 1 \)、それ以外は 0 と定義されている。

この定義より \( \kappa_{ij} = \kappa_{ji} \) が成り立つため、

K_n^{\top} = K_n

となり、\( K_n \) は実対称行列である。

次に \( K_n^2 \) を計算すると、基底ベクトルの順序を 2 回反転させることになるため、

K_n^2 = I

が成り立つ。よって \( K_n^{\mathsf{T}} K_n = I \) であり、\( K_n \) は実直交行列である。

さらに、固有値 \( \lambda \) と固有ベクトル \( x \neq 0 \) に対して \( K_n x = \lambda x \) とすると、

x = K_n^2 x = \lambda^2 x

が成り立つ。したがって \( \lambda^2 = 1 \) であり、固有値は \( \pm 1 \) のみである。

次に跡を考える。\( K_n \) の対角成分は、\( i = n-i+1 \)、すなわち \( 2i = n+1 \) を満たすときに 1 となる。

\( n \) が偶数のときこの条件を満たす整数 \( i \) は存在しないため、

\mathrm{tr}(K_n) = 0

である。一方、\( n \) が奇数のときは \( i = (n+1)/2 \) が唯一の解となり、

\mathrm{tr}(K_n) = 1

が成り立つ。

固有値の重複度については、固有値の和が跡に等しいことと、全重複度の和が \( n \) であることから決定できる。

すなわち、\( n \) が偶数のときは跡が 0 であるため、固有値 \( +1 \) と \( -1 \) はそれぞれ重複度 \( n/2 \) をもつ。

また、\( n \) が奇数のときは跡が 1 であるため、固有値 \( +1 \) の重複度は \( (n+1)/2 \)、固有値 \( -1 \) の重複度は \( (n-1)/2 \) となる。


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