[行列解析2.5.P34]正規固有ベクトルと正規行列の特徴付け

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P34

2.5.問題34

\(A \in M_{n}\)、零でないベクトル \(x \in \mathbb{C}^{n}\) を考える。もし \(x\) が \(A\) の右固有ベクトルかつ左固有ベクトルであるとき、\(x\) を \(A\) の正規固有ベクトルと呼ぶ。

(a) \(Ax = \lambda x, \, x^{*}A = \mu x^{*}\) なら \(\lambda = \mu\) であることを示せ。

(b) \(x\) が固有値 \(\lambda\) に対応する正規固有ベクトルなら、\(A\) が \([\lambda] \oplus A_{1}\) にユニタリ相似であり、ここで \(A_{1} \in M_{n-1}\) は上三角行列であることを示せ。

(c) \(A\) が正規であることと、すべての固有ベクトルが正規固有ベクトルであることは同値であることを示せ。

ヒント

右固有ベクトルと左固有ベクトルの定義を用いて内積を計算することで固有値の一致が分かる。

正規固有ベクトルを基底の一部に選び、ユニタリ変換による行列表示を考える。

正規行列の定義 \(AA^{*}=A^{*}A\) と固有ベクトルの性質を結び付ける。

解答例

(a) \(Ax=\lambda x\) かつ \(x^{*}A=\mu x^{*}\) とする。両辺に \(x\) を用いて \((x^{*}A)x = x^{*}(Ax)\) を考える。

左辺は \((x^{*}A)x = \mu x^{*}x\)、右辺は \(x^{*}(Ax)=\lambda x^{*}x\) である。\(x\neq0\) より \(x^{*}x \neq 0\) なので \(\lambda=\mu\) が従う。

(b) \(x\) を固有値 \(\lambda\) に対応する正規固有ベクトルとする。\(x\) を正規化して \(\|x\|=1\) とし,これを含む正規直交基底をとる。この基底に関するユニタリ行列を \(U\) とする。

このとき

U^{*}AU =
\begin{pmatrix}
\lambda & * \\
0 & A_{1}
\end{pmatrix}

と表される。さらに \(x^{*}A=\lambda x^{*}\) より第1行の非対角成分はすべて0となる。したがって

U^{*}AU = [\lambda] \oplus A_{1}

となり,\(A_{1}\in M_{n-1}\) は上三角行列である。

(c) まず \(A\) が正規であるとする。正規行列はユニタリ対角化可能であり,固有ベクトルからなる正規直交基底をもつ。各固有ベクトル \(x\) に対して \(Ax=\lambda x\) かつ \(A^{*}x=\overline{\lambda}x\) が成り立つので,すべての固有ベクトルは正規固有ベクトルである。

逆に,すべての固有ベクトルが正規固有ベクトルであると仮定する。(b) を繰り返し適用すると,\(A\) はユニタリ相似によって対角行列に変換される。対角行列は正規であり,ユニタリ相似は正規性を保つので,\(A\) は正規行列である。


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