[行列解析2.5.P17]正規行列に対する多項式の正規性

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.5.P17

2.5.問題17

\(A \in M_{n}\) が正規であり、\(p(t)\) が与えられた多項式であるとする。

正規行列の定義(2.5.1) を用いて \(p(A)\) が正規であることを示せ。

定理(2.5.3)

行列 A=[aij]MnA=[aij​]∈Mn​ が固有値 λ1,,λnλ1​,…,λn​ を持つとします。以下の主張はすべて同値です:

(a) AA は正規行列である。

(b) AA はユニタリ対角化可能である。

(c) i,j=1naij2=i=1nλi2∑i,j=1n​∣aij​∣2=∑i=1n​∣λi​∣2

(d) AA は互いに直交する nn 個の固有ベクトルを持つ。

また 定理(2.5.3) を用いた別の証明を与えよ。

ヒント

正規行列の定義は \( A A^{*} = A^{*} A \) である。

多項式 \( p(t) \) を用いた行列 \( p(A) \) の随伴は、係数が複素数であることに注意すれば \( p(A)^{*} = \overline{p}(A^{*}) \) と表される。

積の順序に注意して計算するとよい。また別証明では、正規行列がユニタリ対角化可能であることを用いる。

解答例

まず正規行列の定義を用いた証明を与える。\( A \) は正規であるから \( A A^{*} = A^{*} A \) が成り立つ。

多項式 \( p(t) = \sum_{k=0}^{m} c_{k} t^{k} \) とする。
このとき \( p(A) = \sum_{k=0}^{m} c_{k} A^{k} \) である。
随伴を取ると \( p(A)^{*} = \sum_{k=0}^{m} \overline{c_{k}} (A^{*})^{k} \) となる。

\( A \) が正規であることから、\( A \) と \( A^{*} \) は可換であり、したがって任意の多項式に対しても可換である。
よって \( p(A) p(A)^{*} = p(A)^{*} p(A) \) が成り立つ。

以上より \( p(A) \) は正規行列である。

次に定理(2.5.3) を用いた別証明を与える。\( A \) は正規行列であるから、定理(2.5.3) の (b) より、あるユニタリ行列 \( U \) と対角行列 \( \Lambda \) が存在して \( A = U \Lambda U^{*} \) と表される。

このとき \( p(A) = U p(\Lambda) U^{*} \) が成り立つ。
ここで \( p(\Lambda) \) は対角行列であり、明らかに正規である。

ユニタリ相似は正規性を保存するため、\( p(A) \) も正規行列である。
これにより、定理(2.5.3) を用いても \( p(A) \) が正規であることが示された。


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