[行列解析2.5.7]

2.5.7

補題 2.5.7.

行列 \( A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \in M_2(\mathbb{R}) \) が正規行列であり、かつ共役な非実の固有値を持つと仮定する。このとき、

c = -b \neq 0 \quad \text{かつ} \quad d = a

証明:

計算により、

AA^\top = A^\top A

が成り立つための必要十分条件は、次の2式が成立することです:

b^2 = c^2, \quad ac + bd = ab + cd

ここで、もし \( b = c \) ならば、\( A \) は実対称行列、すなわちエルミート行列となるので、前の定理より \( A \) は2つの実固有値を持つことになります。これは仮定に矛盾します(固有値は共役な非実数のペアなので)。

したがって、

b = -c \neq 0

でなければなりません。次に、式

b(d - a) = b(a - d)

を考えると、両辺が等しくなるためには、

a = d

でなければならないことが分かります。


行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました