[行列解析2.4.p23]上三角行列の余因子行列の構造

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.4.P23

2.4.問題23

\( T = [t_{ij}] \in \mathbb{M}_n \) が上三角行列のとき、\( \mathrm{adj} T = [\tau_{ij}] \) も上三角行列であり、対角成分は

\tau_{ii} = \prod_{j \neq i} t_{jj}

であることを示せ。

ヒント

余因子行列 \( \mathrm{adj} T \) の成分は、小行列式によって定義される。

上三角行列では、ある行または列を除いた部分行列も上三角となる点に注目する。

また、対角成分に対応する余因子は、対角要素以外の積として計算できる。

解答例

\( T = [t_{ij}] \in \mathbb{M}_n \) を上三角行列とする。余因子行列 \( \mathrm{adj} T = [\tau_{ij}] \) の成分は \( \tau_{ij} = (-1)^{i+j} \det T(j|i) \) で定義される。ここで \( T(j|i) \) は、第 \( j \) 行と第 \( i \) 列を除いて得られる部分行列である。

まず \( i > j \) の場合を考える。このとき、部分行列 \( T(j|i) \) には、もとの行列 \( T \) の下三角部分に対応する零成分を含む行が現れる。その結果、\( T(j|i) \) の行列式は 0 となり、\( \tau_{ij} = 0 \) である。したがって \( \mathrm{adj} T \) は上三角行列である。

次に対角成分 \( \tau_{ii} \) を求める。これは第 \( i \) 行と第 \( i \) 列を除いた部分行列 \( T(i|i) \) の行列式に等しい。\( T \) が上三角行列であることから、\( T(i|i) \) も上三角行列であり、その対角成分は \( t_{11}, \ldots, t_{i-1,i-1}, t_{i+1,i+1}, \ldots, t_{nn} \) である。

上三角行列の行列式は対角成分の積で与えられるので、

\tau_{ii} = \det T(i|i) = \prod_{j \neq i} t_{jj}

が成り立つ。以上より、\( \mathrm{adj} T \) は上三角行列であり、その対角成分は \( \tau_{ii} = \prod_{j \neq i} t_{jj} \) であることが示された。


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