[行列解析2.4.p17]行列が生成する部分代数の次元評価

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.4.P17

2.4.問題17

行列 \( A, B \in \mathbb{M}_n \) とし、\( A, B \) によって生成される部分代数 \( \mathcal{A}(A,B) \) を考える((1.3.P36)参照)。

これは \( \mathbb{M}_n \) の部分空間であり、ゆえに次が成り立つ:

\dim \mathcal{A}(A,B) \leq n^2

\( n=2 \), \( A = \begin{pmatrix} 0 & 1 \\ 0 & 0 \end{pmatrix} \), \( B = A^{\top} \) の場合に \( \dim \mathcal{A}(A,B) = n^2 \) となることを示せ。

また、ケイリー–ハミルトンの定理を用いて、任意の \( A \in \mathbb{M}_n \) について \( \dim \mathcal{A}(A, I) \leq n \) であることを示せ。

さらに、ガーステンハーバーの定理(Gerstenhaber’s theorem)により、\( A, B \) が交換するときは \( \dim \mathcal{A}(A,B) \leq n \) であることを示せ。

Gerstenhaber’s theorem(行列版)

体上のn×nn \times n行列全体の代数MnM_nにおいて、互いに可換な行列によって生成される部分代数の次元は高々nnである。

ヒント

部分代数 \( \mathcal{A}(A,B) \) は、単位行列を含み、\( A,B \) の積と線形結合で生成される部分空間である。

具体的な行列を与えられた場合は、積 \( AB, BA \) などを計算し、一次独立な元を数えればよい。

一般の場合には、ケイリー–ハミルトンの定理によって高次の冪が低次の冪で表されることや、交換条件のもとでの既知の定理を用いる。

解答例

まず \( n=2 \) とし、

A=\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix},\quad
B=A^{\top}=\begin{pmatrix}0&0\\1&0\end{pmatrix}

とおく。このとき

AB=\begin{pmatrix}1&0\\0&0\end{pmatrix},\quad
BA=\begin{pmatrix}0&0\\0&1\end{pmatrix}

が成り立つ。さらに

I=AB+BA

である。したがって

\{I,A,B,AB\}

は一次独立であり、これらはすべて \( \mathcal{A}(A,B) \) に属する。よって

\dim\mathcal{A}(A,B)=4=n^2

が従う。

次に任意の \( A\in\mathbb{M}_n \) に対して \( \mathcal{A}(A,I) \) を考える。ケイリー–ハミルトンの定理より、\( A \) は自分自身の特性多項式

p_A(A)=A^n+c_{n-1}A^{n-1}+\cdots+c_0I=0

を満たす。したがって \( A^n \) は \( I,A,\dots,A^{n-1} \) の線形結合で表される。同様にすべての高次冪もこれらで表されるので、

\mathcal{A}(A,I)=\mathrm{span}\{I,A,\dots,A^{\,n-1}\}

となり、

\dim\mathcal{A}(A,I)\le n

が従う。

最後に \( A,B \) が交換すると仮定する。Gerstenhaber の定理によれば、互いに交換する行列によって生成される部分代数は、ある一つの行列の多項式で生成される可換部分代数に含まれる。したがってその次元は高々 \( n \) であり、

\dim\mathcal{A}(A,B)\le n

が成り立つ。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました