[行列解析2.4.p16]2×2行列の固有値の関係と固有ベクトルの構成

2.ユニタリ相似とユニタリ同値

2.4.P16

2.4.問題16

\( A = \begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \in \mathbb{M}_2 \) の固有値を \( \lambda \) とする。

  1. \( \mu = a + d - \lambda \) も \( A \) の固有値である理由を説明せよ。
  2. \( (A - \lambda I)(A - \mu I) = (A - \mu I)(A - \lambda I) = 0 \) であることを説明せよ。
  3. \( \begin{pmatrix} a - \lambda & b \\ c & d - \lambda \end{pmatrix} \) の任意の非零列ベクトルは、\( A \) の固有値 \( \mu \) に対応する固有ベクトルであり、任意の非零行ベクトルは \( \lambda \) に対応する左固有ベクトルの随伴転置であることを導け。
  4. \( \begin{pmatrix} \lambda - d & b \\ c & \lambda - a \end{pmatrix} \) の任意の非零列ベクトルは、\( A \) の固有値 \( \mu \) に対応する固有ベクトルであり、任意の非零行ベクトルは \( \lambda \) に対応する左固有ベクトルの随伴転置であることを導け。

ヒント

2×2行列の固有値の和はトレース \( a+d \) に等しいので、一方の固有値を \( \lambda \) とすると他方は \( \mu=a+d-\lambda \) である。

特性多項式を用いて、行列 \( A \) 自身がそれを満たすことを利用する。

すると二つの一次因子に分解できるので、\( (A-\lambda I)(A-\mu I)=0 \) が従う。

また階数を考えると \( A-\lambda I \) は零行列ではなく階数1となり、その列は零でない核に入るので固有ベクトルが得られる。

解答例

1. 行列 \( A=\begin{pmatrix} a & b \\ c & d \end{pmatrix} \) の特性多項式は次の通りである。

p(\lambda)=\det(\lambda I-A)=\lambda^{2}-(a+d)\lambda+(ad-bc)

したがって固有値の和は \( a+d \) に等しい。よって \( \lambda \) が固有値であれば、もう一つの固有値は

\mu=a+d-\lambda

である。

2. ケーリー・ハミルトンの定理より \( A \) は自身の特性多項式を満たす。

A^{2}-(a+d)A+(ad-bc)I=0

特性多項式は固有値 \( \lambda,\mu \) を用いて

x^{2}-(a+d)x+(ad-bc)=(x-\lambda)(x-\mu)

と因数分解できるので、行列に対して

(A-\lambda I)(A-\mu I)=0

が成り立つ。また両因子は \( A \) の多項式であるため可換であり、

(A-\mu I)(A-\lambda I)=0

も成り立つ。

3. \( \lambda \) が固有値であるから \( \det(A-\lambda I)=0 \) である。2×2行列なので \( A-\lambda I \neq 0 \) かつ階数は1である。したがって

A-\lambda I=\begin{pmatrix} a-\lambda & b \\ c & d-\lambda \end{pmatrix}

の各列ベクトルは互いに比例し、いずれも零ではない。さらに

(A-\mu I)(A-\lambda I)=0

より、\( A-\lambda I \) の各列ベクトル \( v \) は

(A-\mu I)v=0

を満たす。したがってそれらは固有値 \( \mu \) に対応する固有ベクトルである。また同じ等式を右から見ると、任意の非零行ベクトルは \( \lambda \) に対応する左固有ベクトルの随伴転置になる。

4. 

\begin{pmatrix} \lambda-d & b \\ c & \lambda-a \end{pmatrix}

も \( A-\lambda I \) と同様に階数1の行列であり、同じ核をもつ(比例関係にある)ので、その任意の非零列ベクトルも固有値 \( \mu \) に対応する固有ベクトルである。同様に、その任意の非零行ベクトルは固有値 \( \lambda \) に対応する左固有ベクトルの随伴転置である。


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