[行列解析2.2.p1]

2.2.問題1

2.2.P1

\( A = [a_{ij}] \in M_n(\mathbb{R}) \) を対称だが対角行列ではないとし、\( i \lt j \) かつ \( |a_{ij}| = \max\{|a_{pq}| : p < q\} \) となるような添字 \( i, j \) を選ぶ。

次に、角度 \(\theta\) を次の関係式で定める:

\cot 2\theta = \frac{a_{ii} - a_{jj}}{2a_{ij}}

このとき、\(U(\theta; i,j)\) を平面回転(2.1.11式)とし、次のように定義する:

B = U(\theta; i,j)^T A U(\theta; i,j) = [b_{pq}]

以下を示せ:

\(b_{ij} = 0\)

\sum_{p,q=1}^n |b_{pq}|^2 = \sum_{p,q=1}^n |a_{pq}|^2
\sum_{p \ne q} |b_{pq}|^2 \\
= \sum_{p \ne q} |a_{pq}|^2 - 2|a_{ij}|^2 \\
\le \left(1 - \frac{2}{n^2 - n}\right) \sum_{p \ne q} |a_{pq}|^2

このように、各ステップで最大の非対角成分を打ち消す平面回転を行う実数直交相似変換の列を取ると、行列は最終的に対角行列に収束し、その対角成分は行列 \(A\) の固有値となる。

対応する固有ベクトルは、この過程の副産物として得られる。この方法は実対称行列の固有値を計算するヤコビ法である。

実際には、ヤコビ法は三角関数やその逆関数を用いずに実装される。

詳細は Golub and Van Loan (1996) を参照せよ。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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