2.2.8定理
定理 2.2.8.
\(A, B \in M_n\) とする。
(a) 2つの行列 \(A, B\) がユニタリ相似であるのは、長さが高々
n \; \sqrt{\frac{2n^{2}}{\,n-1\,} + \frac{1}{4}} + \frac{n}{2} - 2
である2つの非可換変数に関するすべての単語 \(W(s,t)\) に対して
(2.2.7)
\mathrm{tr}\, W(A, A^{*}) = \mathrm{tr}\, W(B, B^{*})
が成り立つ場合、かつその場合に限る。
(b) \(n = 2\) の場合、\(A\) と \(B\) がユニタリ相似であるのは、次の3つの単語について (2.2.7) が成り立つ場合、かつその場合に限る:
\(W(s,t) = s,\; s^{2},\; st\).
(c) \(n = 3\) の場合、\(A\) と \(B\) がユニタリ相似であるのは、次の7つの単語について (2.2.7) が成り立つ場合、かつその場合に限る:
\(W(s,t) = s,\; s^{2},\; st,\; s^{3},\; s^{2}t,\; s^{2}t^{2},\; s^{2}t^{2}st\).
(d) \(n = 4\) の場合、\(A\) と \(B\) がユニタリ相似であるのは、次の表に示す20個の単語について (2.2.7) が成り立つ場合、かつその場合に限る:
- \(s\)
- \(s^{2},\; st\)
- \(s^{3},\; s^{2}t\)
- \(s^{4},\; s^{3}t,\; s^{2}t^{2},\; stst\)
- \(s^{3}t^{2} \)
- \(s^{2}ts^{2}t,\; s^{2}t^{2}st,\; t^{2}s^{2}ts\)
- \(s^{3}t^{2}st\)
- \( s^{3}t^{2}s^{2}t,\; s^{3}t^{3}st,\; t^{3}s^{3}ts\)
- \(s^{3}ts^{2}tst,\; s^{2}t^{2}sts^{2}t\)
- \(s^{3}t^{3}s^{2}t^{2}\)
2つの実行列がユニタリ相似であるのは、それらが実直交相似である場合、かつその場合に限る((2.5.21) を参照)。
したがって、(2.2.8) の判定条件は、実行列 \(A, B\) が実直交相似であるための必要十分条件を与える。
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