[行列解析2.1.p6]

(2.1.p6)

2.1.問題6

3×3直交群のパラメトリックな表示を与えよ。

2×2直交群の2つの表示は (2.1.5) に続く演習に示されている。

ヒント

以下の行列を考えます:

 U_\theta = \begin{bmatrix} \cos \theta & -\sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end{bmatrix} 

ここで \( \theta \) は実数パラメータとします。

\( U \in M_2(\mathbb{R}) \) を実直交行列とすると、ある \( \theta \in \mathbb{R} \) に対し、 \( U = U_\theta \) または\(U=\begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & -1 \end{bmatrix} U_\theta\)である。

解答例

特殊直交群\(SO(3)\)は、直交群\(O(3)\)の部分群となっている。

\(O(3)=\{R \in M_3(\mathbb R)| R^T R=I\}\)

\(SO(3)=\{R \in O(3)| \det R=1\}\)

これに行列式が-1である行列\(S\)、たとえば

S=\begin{bmatrix} 1 & 0 & 0\\ 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & -1 \end{bmatrix}


をつかうと、直交群\(O(3)\)は

O(3)=SO(3) \cup S \cdot SO(3)

と表すことができる。

したがって、特殊直交群\(SO(3)\)がパラメータ表示できれば直交群\(O(3)\)もパラメータ表示できる。

特殊直交群\(SO(3)\)は、オイラー角よ呼ばれる3つの角度 \((\phi, \theta, \psi)\)を用いて表すことができます。航空宇宙分野やロボティクスでよく使われます。

パラメータ: 特殊直交群を表す3つの角度 \((\phi, \theta, \psi)\)

表現: 特殊直交行列\(R\)は、以下の3つの基本回転行列(例えば、Z軸→Y軸→X軸の順など、定義により順序は多数存在する)の積として表す事ができる。

例(Z-Y-X系の場合):

R = R_x(\phi) R_y(\theta) R_z(\psi)

各軸周りを表す回転行列は以下の通り:

R_x(\phi) = \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0 \\ 0 & \cos\phi & -\sin\phi \\ 0 & \sin\phi & \cos\phi \end{pmatrix}\\ \quad \\
R_y(\theta) = \begin{pmatrix} \cos\theta & 0 & \sin\theta \\ 0 & 1 & 0 \\ -\sin\theta & 0 & \cos\theta \end{pmatrix} \\ \quad \\
R_z(\psi) = \begin{pmatrix} \cos\psi & -\sin\psi & 0 \\ \sin\psi & \cos\psi & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix}

欠点: 特定の角度(例えば、\(\theta = \pm 90^\circ\))で自由度が失われ、
表現が一意でなくなるジンバルロックという特異点の問題がある。


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