2.1.P3
2.1.問題3
実パラメータ \(\theta_1, \theta_2, \ldots, \theta_n\) が与えられたとき、
U = \mathrm{diag}(e^{i\theta_1}, e^{i\theta_2}, \ldots, e^{i\theta_n})
がユニタリであることを示せ。
また、すべての対角ユニタリ行列はこの形を持つことを示せ。
解答例
対角行列 \(U=\operatorname{diag}(e^{i\theta_1},\dots,e^{i\theta_n})\) がユニタリであること
実パラメータ \(\theta_1,\theta_2,\dots,\theta_n\) が与えられたとき、行列
U=\mathrm{diag}\bigl(e^{i\theta_1},e^{i\theta_2},\dots,e^{i\theta_n}\bigr)
を考える。随伴行列は各対角成分の共役を取るため
U^*=\mathrm{diag}\bigl(e^{-i\theta_1},e^{-i\theta_2},\dots,e^{-i\theta_n}\bigr).
よって積は各対角成分の積になり、
U^*U=\mathrm{diag}\bigl(e^{-i\theta_1}e^{i\theta_1},\dots,e^{-i\theta_n}e^{i\theta_n}\bigr)=\mathrm{diag}(1,\dots,1)=I.
したがってこの \(U\) はユニタリである。
すべての対角ユニタリ行列が上の形を持つことの証明
対角行列を \(D=\mathrm{diag}(d_1,\dots,d_n)\) とする。
ユニタリ性 \(D^*D=I\) を対角成分で見ると
各 \(j\) について \(|d_j|^2=1\) が得られる。
従って各 \(d_j\) は複素単位円上の元であり、ある実数 \(\theta_j\) を用いて
d_j = e^{i\theta_j}\quad(\theta_j\in\mathbb{R})
と表せる。
よって任意の対角ユニタリ行列は \( \mathrm{diag}(e^{i\theta_1},\dots,e^{i\theta_n}) \) の形を持つ。
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